板取川 川浦谷支流 海ノ溝洞 沢登り 【2020年8月13日】
一昨年位からIVOGさんと計画立ててたものの、悪天候により中々実現できなかった海ノ溝(ウノミゾ)遡行に行ってきました。雨の中水流の強いゴルジュが手ごわい沢でした。
●メンバー:私、IVOGさん、Tさん、RYOさん
●装備:一般遡行装備+登攀具 水に浸かる時間が長いので保温性の高い服装で。フローティングロープがあると便利。
●体感沢グレード:4級位 登攀・泳ぎ要素がメインとなる
●フリクション:滑るところが多い。ラバー推奨。
●見所:圧倒的ゴルジュ
●下山難易度:容易 ルートも引き返し易いのでエスケープも容易
●遡行図:『渓谷登攀』より。一本道なので迷うところ無し
●コースタイム
駐車場(8:10)…川浦本流分岐点(8:20)…大釜の滝(9:20)…チョックストーンのゴルジュ(10:45)…林道出合い(14:40)…駐車地点(15:15)
ルート図
遡行
今回はワザワザ関東から来てくれたRYOさん、いつものIVOGさん、Tさんのつよつよメンバー。しかし当日は残念なことに雨天。しかもお昼位まで段々悪くなると。
ここは増水に強く影響を受ける沢なので撤退ムードでしたが、見下ろしてみるといけなくは無さそう。増水怖いけど、せっかく来たのだからいけるところまでは行ってみようぜということでスタート。
橋から見下ろすF2。
アプローチは橋の下から右岸を懸垂下降。すぐに最初の関門F2となります。
ここはあっという間にRYOさんが流真を泳いで突破。IVOGさんは右岸をフリーでトラバース。この人達やっぱり強い。
私はフィックスで楽して突破。落ち口がそんなに深くないので特攻すれば割と行けるみたい。トラバースの場合は水に入らずに右岸をスメアで。
ここからは美しいゴルジュの中に小規模な滝や淵が連続します。全部直登するのでなければ難しいところは特にないので泳いだりへつったりしてテキトーに突破。幸いなことに水温が高めだったので快適に遡行。
あっという間に大釜の滝に到着。ブルーの釜がとても綺麗。ここはロープを出して左岸から登ります。リードジャンケンに買ったRYOさんがトライ。
ハングしたのクラックに残地ハーケン有り。下部の水流際にあるホールドを見つけるのがポイント。上部はガバだらけなので快適です。
右岸から写真を撮ると中々インスタ映えする写真がとれますよ。
フォローで登る私。
滝を越えるとすぐに有名なチョックストーンの滝に到着です。
ここが海ノ溝の核心と言えるでしょう。
ここはチョックストーン右側からエイドで登るのがセオリー。
早速我らが特攻隊長のTさんが突っ込むも激流により跳ね返される。その後皆右岸から左岸から中央から突っ込むも流れが強く到達できず・・。
泳ぎ沢でもめっぽう強い彼らが跳ね返されるのは中々無い。自信を無くして落ち込む一同でしたが、今日はきっと流れが強いのでしょう。
戦略を変えてチョックストーン上の流木めがけてハンマー投げ。
何度も投げ続け、手前側の流木にうまくきまり、私がユマーリングで直登するも流木に手が届いたところでハンマーが外れて落下。奥の方にきまればチョックストーンまで届いたんですが・・。
結局全部で2時間くらいトライし続けましたが、天気も心配なのであきらめて左岸巻き。
左岸巻きも滑りが強く、泥が乗っているため悪めです。
念のためロープを出して左岸テラスへ。
画像は流木の端にひっかかったままになっていたフローティングロープを回収するためにチョックストーンまで降りて見た滝側。
滝つぼに落ちるとヤバそうなのでここもチョックストーン上も中々神経を使いそう。せっかく順調にこれたのにチョックストーンで大分時間が掛かってしまいました。
チョックストーンを過ぎて暫くするとゴルジュが開けて急に渓相が穏やかになります。
適当なところで林道に上がって終了。
また一つ行きたかった沢に行くことができ、満足のいく山行でした。
台高 北山川水系 東ノ川本流 沢登り【2020年8月8日~9日】
ウノカワいう記述を多く見ますが、正しくはヒガシノカワ。大台ヶ原の西方から北山川に続くこの沢はデカく切り立った大台ヶ原ならではの地形が魅力。地形図を見て一度は行ってみたいと思っていた沢です。
●メンバー:私、HTNさん、MKさん
●装備:一般遡行装備 登攀装備はいらないが、懸垂などする場合になったときのためにロープはあった方が良い。メンバーの技量によってはお助けヒモを出す場面が多くなるので補助ロープがあると便利。今回はルート取りが良かったのか、懸垂下降の場面は無かった。
●体感沢グレード:3級位。体力+沢力系
●フリクション:本流に入ると滑るところが多い。ボルダームーブが多いのでラバーが良いかも。
●見所:水が綺麗 圧倒的な巨岩帯 大滝
●下山難易度:容易 遊歩道に交差する。
●テン場:割と多め。白崩谷出合い・中崩谷出合い・大抜け谷出合いあたりが良い。薪も沢山あるので焚火には困らない。
●コースタイム
1日目:大台ヶ原P(7:00)…下降ポイント(8:20)…東ノ川本流出合い(12:00)…テン場(15:40)
2日目:テン場(7:50)…地獄釜滝(7:55)…西ノ滝(10:15)…シオカラ谷出合い(10:45)…シオカラ橋(13:20)…大台ヶ原P(13:50)
ルート図と縦断図
1日目:大台ヶ原P~白崩谷~中崩谷出合い
大台ヶ原Pよりスタート。連休はじめということでほぼ満車状態。登山道は非常によく整備されてますが、堂倉山方面に向かう尾鷲道の分岐は看板が出ていないので要注意。東屋の裏手に踏み跡があるのでそちらに進むのが正解。
ミヤマクワガタのメスを発見。
堂倉山の南側に差し掛かったところから適当に白崩谷に下降していきます。
早速20m程の立派な滝。ここは左岸から楽に降りられます。
ここから先は巨岩により埋め尽くされた渓相になります。
一つ一つがトラック位ある岩の隙間を縫って下降していきます。滝を含めて悪そうなところばかりですが、必ずどこかしらに弱点があり、懸垂下降などは必要ありません。
巨岩帯で一度伏流し、また水流が出てくると東ノ川本流は近いです。このあたりが一番今回の山行で透明度が高かったです。伏流している間に十分濾過されているんでしょうね。
東ノ川本流出合い。最初は穏やかな歩きになりますが、しばらく歩くと延々と続く巨岩帯がスタートです。今回本流の水は物凄く暖かく水浴びしながら進んでいきます。
パッと見普通のゴーロ帯に見えますが、一つ一つが家位の大きさの巨岩帯。直登困難なところばかりでひたすら右岸巻きです。トレースがまぁまぁ有り、巻きに関してはそんなに迷うところはありません。
しかし、それぞれの巨岩の間を乗り越えて行くためのルートファインディング力が求められます。重い荷物を背負ってひたすらボルダーをこなして行くのは中々しんどいです。また、足を踏み外したらヤバいところが多いので初級者を連れて来る場合は補助ロープ・お助けヒモを出す場面が多くなると思います。
巨岩を巻きながら中崩谷にて幕営。夜はヌカカが多く肌が出ているところを30か所位刺されました・・・。蚊やアブは1~2日で収まりますが、ヌカカは1か月位痒みが続くので辛いです。蚊取り線香と虫よけ必須ですね。
2日目:中崩谷~シオカラ谷~大台ヶ原P
テン場から5分程あるくと地獄釜滝です。名前の通り地獄のような暗い釜をもった斜瀑です。ここは左岸から容易に巻けます。
二日目も巨岩帯をひたすら乗り越えて行きます。10級~8級のボルダーを延々とこなす感じ。
有名な3つの大岩は近づいた時にはデカすぎて全体を写真に収める事が出来ませんでした。これだけ大きい巨岩が転がってきた時にはどれだけの衝撃があったのか。。
ここは左岸から巻きます。残地ロープも有るので迷うところは無いです。
この後も巨岩を乗り越え続るとパッと視界が開け、西ノ滝150mと中ノ滝245mが落ちる絶景が広がります。来てよかった~と思える光景。ここを過ぎると渓谷は東側に延び、シオカラ谷へと入ります。
シオカラ谷に入ると沢は急に細くなりますが、巨岩のゴーロは変わらず続きます。ここからは登れる滝も出てきて、シャワークライミングしながら進みます。
最後の25m滝。ここは関西起点沢登りルート100では左岸巻きとなってますが、右岸の枝沢から巻きました。
25m滝を巻くと沢はいきなりナメ床となり、今までの激しいゴーロ帯は何だったのかと思うような穏やかな渓相となります。
そのまま150m程進むとハイキング客でごった返すシオカラ橋に出合います。最後の水浴びで体を冷まし、大台ヶ原Pまで30分。
帰りは『あきののゆ』にて入浴し、帰路へ。
良い時期に良い沢に行けて良かった。
両白山地 大日ヶ岳トレッキング 【2020年6月27日】
梅雨の晴れ間に山岳会のSAMさんとHさんが大日ヶ岳に行くというので便上してきました。ルートは桧峠から山頂ピストン。ここは冬のBCでしか行ったことが無かったため夏
季の様子を見るのがとても新鮮。季節の生き物を見ながら歩いてきました。
スタートはスキー場から。ゴンドラ乗り場まではワラビが群生しており、登山者達がこぞって採集してます。ここを過ぎるとブナ林となり、エゾハルゼミが鳴く登山道を登ります。
ノリウツギ。ウツギと名付けられてますが、見ての通りアジサイの仲間
ササユリ。このあたりのササユリは皆ホワイトです。
ギンリョウソウ
稜線に出ると低木~草原になります。私の生まれの関東だとこの標高ではこのようにはなりません。積雪・風・土壌の水分含有量等が要因となる『山頂現象』という現象です。
オオヤマレンゲ。初見です
ゴゼンタチバナの群生
アカモノ
山頂です。
写真に挙げたもの以外でも様々な花を見る事ができました。久々にゆっくりと色々見ながら歩くことができて楽しかったです。帰りは『満天の湯』にて入浴し帰宅。
飛騨川水系 大洞川 若栃谷 イワナ釣り山行 【2020年5月17日】
岐阜県下呂市木曽川水系の小坂川の支流の一つ、大洞川の若栃谷に行ってきました。
目的は釣り。昨年行ったがんだて峡の兵衛谷は災害の影響で全くイワナが釣れない沢でしたが、ここはある魚影もあり気軽に楽しめる谷でした。
しかし釣果は微妙。活性が全体的に悪いのもありましたが、ゲート下部は先行者が入っているのかスレた印象でした。
●装備:一般遡行装備
※一部足場悪いところもあるので補助ロープがあると安心です。
●体感沢グレード:1級 塩滝の巻きがちょっと悪い
●フリクション:普通
●下山難易度:容易 川沿いに林道があるのでどこでもエスケープ可能。
●コースタイム:駐車地点(9:00)…塩滝(10:10)…遡行切上(15:00)…駐車地点(15:40)
入渓時間:約6時間 下山時間:約40分
ルート図と縦断図
アプローチ&遡行
小坂町大洞集落から川沿いに林道が走っています。川のすぐそばなのでどこからでも入渓可能で先行者は居なさそう。明るい渓相で中々良い雰囲気。
林道途中で降りて早速竿を出しましたが、アタリが無いどころかチェイスすら無い。やっぱりアプローチが良いのでハイプレッシャーなんでしょう。30分程で早々に切上げ林道上部へ。
暫く上がると閉じられたゲートがありその手前に3台程の駐車スペース。ここから再スタートしました。土砂が堆積しており広々とした地形。ここで早速チェイスあり。ここらへんまではアマゴとイワナ混在しているようです。
この先は砂防堰堤があり林道から巻き。降りたところでTさんがアマゴとイワナをゲット。
私も中々良い型のイワナを釣り上げました。
暫く進むと塩滝。崖に囲まれた中に落ち込む直瀑で中々良い滝。以前は飛騨小坂滝めぐりのツアーもあったらしいですね。
ここは右岸から滝の先の砂防堰堤まで高巻き。結構岩が脆く足場が悪いので、補助ロープを出しました。慣れてない人が居るならば林道まで上がって巻いた方が良いかもしれません。
それ以降はたまに砂防堰堤を越えつつ穏やかな渓相が続きます。
以前から気になっていたボトムノックスイマーⅡを使ってみました。スピナーでは反応しないイワナが猛烈にアタックしてきて中々コレ良いかもしれません。
ボロボロの堰堤。段々と水量が少なくなり堰堤越えが続きます。
適当なところで林道に上がり下山。釣果は10匹ほど。
鈴鹿 大岩谷 午前中だけのお手軽沢登り 【2020年4月16日】
お気軽に行ける散歩沢。明るくて簡単なのでサクッと行きたい時に良い沢です。
●装備:一般遡行装備 大滝登攀するならば要登攀具
●体感沢グレード:1級
●フリクション:良い
●見所:鈴鹿のお手軽沢 大滝が見事
●下山難易度:容易 川沿いに登山道・林道有り。
●コースタイム:駐車地点(9:30)…林道終点(10:10)…紺屋谷分岐(10:35)…白滝(10:50)…遡行切上(11:30)…駐車地点(12:20)
入渓時間:約2時間 下山時間:約1時間
ルート図と縦断図
アプローチ
小岐須キャンプ場を登っていくと大石橋に到着。大岩谷側のスペースに駐車しました。ケヤキ谷の脇から大岩谷沿いに走る林道があり、駐車スペースが割とあるので林道を上がって行った方が良いです。
遡行
記録を見ていると林道を上がってから入渓しているものが多かったですが、今回は大石橋から入渓。林道に沿って砂防堰堤がいくつかあり、巻くのが面倒。やっぱり林道から入った方が良いです。
いきなり3m滝。まだ濡れたくなかったので左岸をへつり突破。
砂防堰堤が続く・・。
3つほど越えたところで面倒になり林道に上がりました。林道は大分荒れてますが、快適に歩けます。
林道終点から再入渓。
入渓してすぐの綺麗なナメ。
5m斜瀑。右からも左からも快適に登れます。
紺屋谷分岐。中央の大岩にケルンが積まれてました。
5m斜瀑。右岸からへつって突破。
6m。ここも右岸から快適に登れます。
白滝2段40m
穏やかな沢にいきなり大滝が。右側から直登できそうだけど、今回は登攀具も何も持ってきていないので素直に巻き。左岸に明瞭な踏み跡・テープがあり滝身を眺めながら登れます。見た感じ2段目の落ち口が悪そうでした。機会があれば登ってみたい。
10m。滝左側から突破。難しくは無いですが、落ち口がちょっと気持ち悪い。
10m滝以降はそんなに見どころがなさそうなのと、入道ヶ岳までいく気分でもなかったのでこのあたりで切り上げ。左岸側を20mほど詰めるともう登山道です。なんてお気軽な沢なんでしょ。
登山者はそんなに多くはなさそうですが、非常に整備された登山道で1時間程度でサクッと下山。
良い沢だった。
付知川東股谷 沢登り【2020年4月15日】
付き合いのあるガイドさん、ツアーに同行してくれる添乗員さんたちとたまには個人山行でも行きましょうということになり企画。
今回沢が初めてのTさんもおり、釣りもしたかったのでいつもの付知峡へ。
●メンバー:私、MWさん、Yさん、Tさん
●装備:一般遡行装備 高巻きするのでメンバーによってはロープは持って行った方が良い。ゴルジュを突破するなら登攀用具も
●体感沢グレード:2級下 ゴルジュ突破の場合は3級程度
●フリクション:良い
●見所:水が綺麗 ゴルジュの様相が素晴らしい
●下山難易度:容易 川沿いに林道有り。
●コースタイム:林道ゲート前(7:30)…入渓(8:00)…遡行切上(15:00)…林道(15:20)…林道ゲート前(16:20)
入渓時間:約7時間 下山時間:約1時間
ルート図と縦断図
アプローチ
当初は西俣谷に行くはずが道路工事による通行止め。東股谷にチェンジ。
不動滝駐車場の左側の林道をさらに進んでいくとゲートにつきます。駐車スペースは3台程。準備をしてスタート。しばらくは林道歩きです。
ここは釣り人や林業従事者の下る道がいくつかあります。適当なところで下りスタート。
水が綺麗。鈴鹿あたりの沢はグリーンがかかるけど、付知峡の水はきれいなブルーです。岩質は溶結凝灰岩って感じ。暫く進むと深いゴルジュとなります。
5m滝。一見無理そうに見えますが、左岸から突破できます。巻く場合は左岸から高巻きますが、ちょっと悪いので初心者がいる場合はここだけはロープを出した方が無難です。
今回沢が初めてのTさんがおりちょっと不安だったので少し戻って右岸から大高巻き。結局右岸側のルンゼも悪く林道に出てしまったので、素直にロープを出して右岸から巻けばよかったなと後悔。
気を取り直して再入渓。
ここからは特に難しいところはなく、美しい沢を歩きます。
竜ヶ髯谷出合いに近づくにつれて段々と川幅が広くなってきます。地形図上途中一本右岸側に沢が入っているのですが、このあたりは緩やかな尾根になっており踏み跡もあります。今回は大分ゆっくりだったので、竜ヶ髯谷出合い先の二段滝を眺めてから引き返して脱出。
二段4m+8m。切り立った両岸の威圧感と水量が加わり迫力満点の滝です。滝左側から取り付いて左岸に抜ける形で登れるみたいですが、登った事はありません。
高巻く場合は左岸から。今回はここまでで遡行終了しました。
作業道から林道へ。まだまだ沢シーズンとしては寒い時期ですが、付知峡の綺麗な水に癒されました。
沢登り用の服装・ウェアの選び方と実際に使っているウェアの紹介
今回は沢登りで使うウェアについて解説していきたいと思います。
ウェアについては寒がりな人と暑がりな人で大分意見が分かれるところだと思いますが、参考になれば幸いです。
その他の装備や沢登り全体の概要は下記をご参照ください。
scolopendra-oniisan.hatenablog.com
沢登りのウェア
ポイントとしては①乾きやすく②保温性があり③水を含みにくいウェアを選びます。
基本的には登山用のウェアと同じくインナー・ミッドレイヤー・アウターとレイヤリングするのですが、冷たい沢の水に濡れる事が前提となるスポーツです。より一層体の熱を逃がさないウェアが必要になります。
専用品は撥水加工が施されていたり水中で保温性の高い素材が使われています。泳ぎの多い沢ではウォータースポーツ用のウェットスーツを使ったりもします。
沢に合わせて各自スタイルを組み立てるイメージです。メチャクチャ暖かい沢だと普通にドライTシャツだけで遡行したりもしますし、状況により各自で調整しましょう。
色々な考えがあるので、迷ったら専用品を買った方が良いです。特に昔ながらの山ヤのオッサンはジャージとシャツで十分だ!って言いがちな方が多いです。それを信じてゴルジュでガクガクと震えるかわいそうな初心者を数多く目にしてきました。
メーカーはモンベルとファイントラックが殆どのシェアを占めています。両メーカーで少しコンセプトが異なりますが、そんなには変わりません。
強いて言うならばファイントラックの方が機能面で少し先を行っているかなといった印象。その分高級品です。
普段使っているウェアを紹介しながら解説していきます。
インナー
保温性・速乾性のある動きやすいウェアを着用します。
伸縮性に富んでおり体にジャストフィットすることで体に接触する水分を減らします。通常の登山用インナーでも代用可能。
上半身はこれを一番下のインナーに使用しています。ファイントラックだとラピッドラッシュ が相当する商品なのですが、ファイントラックはさらに一枚薄手のアクティブスキンという商品もあります。
いずれの商品も強力な撥水性を持たせているため、最初のうちは本当に水を含まず泳いでも一瞬で乾きます。ただその撥水性もあんまり持ちません。
メーカーのページでは良い事ばかり書いてありますが、モンベルもファイントラックも3~5日間位使ったら大分落ちてきます。メーカーの人が見たら怒られるかもしれませんが、本当のことだからしょうがない。あんまり気にせず使いましょう。
ちなみにファイントラックだと撥水性復活サービスがあるみたいです。お金に余裕があれば。
私はアクティブスキンはレイヤリングが煩雑になるため使っておりませんが、使用感を聞いていると水濡れ感がさらに抑制されるみたいですね。
下半身は下着を兼ねてミズノのインナータイツを使っています。
これは沢用ではないのですが、ウレタン混合のストレッチ性の高い素材が使われていて非常に調子良いです。
以前は普通のショーツを下着に履いて遡行してましたが、長い距離を歩くと必ず股ずれを起こして痛い思いをしてました。水を含むと股ずれしやすくなるので、インナータイツを履く場合も下着はスパッツタイプのものがオススメです。
沢用のウェアとしては、上半身と同じようにアクアボディ(モンベル)やラピッドラッシュ(ファイントラック)のタイツが販売されています。
ミッドレイヤー
泳ぎが多かったり気温の低い沢で使用します。
インナーよりも厚手で水はけの良い素材が使われており、水に体が濡れた状況でも体温を保ちます。
私の所属している山岳会の主催する登山学校だと初心者は必ず買わされてるので、。私はこれを制服と呼んでいます。少し厚手で保温性があり、水はけが良いです。新品の撥水性の高さには感動します。通気性も良いので詰めやアプローチで着たまま行動できます。
モンベルの商品では相当する商品としてはライトネオプレンロングスリーブシャツになります。もっと分厚いネオプレン パドリングフルジップってのもあります。
両商品で大きく違うのが素材です。フラッドラッシュはドライTシャツ等と同様にポリエステルとポリウレタンの混合生地でできているのですが、ライトネオプレンシャツはその名の通りネオプレン、つまりクロロプレンゴムでできています。
そのため、保温性能はモンベルの商品が勝りますが、通気性・速乾性はファイントラックの物が秀でています。
寒がりな方はネオプレンのものをオススメします。暑けりゃ脱げば良いだけの話ですから。
下半身は逆にモンベルのライトネオプレンタイツを使っています。基本的に温度調整は上半身で行い、ウェアの数も煩雑にしたくないのでインナータイツも兼ねてこの一枚です。下はミズノの下着のみです。
フラッドラッシュも同様にタイツが販売されています。
アウター
レインウェア
さらに寒いとき、長く泳ぐときや、シャワークライミング時はアウターとしてレインウェアを着込みます。
特に水流がある沢ではレインウェア必須です。イメージとしてはウィンドブレーカーと一緒です。体に当たる水流を減らし体温低下を防ぎます。
使うレインウェアはなんでも良いですが、消耗が激しいので登山で使っているものをそのまま使うともったいないです。使わなくなったウェアがあればそれを使いましょう。ワークマンで売っている上下5,000円位のレインウェアも十分使えますので、それらを使うのもアリです。というかおすすめです。
ワークマンのヤッケ
某山岳会が激押ししてますが、ワークマンで売っているような作業用ヤッケも水流を防ぐことができ非常に便利です。完全防水ではないので長時間滝に打たれているようなシャワークライミング時にはレインウェアの方が良いですが、必要十分です。
何より安い!一着5百円位で買えますので、高価なレインウェアを使うのがバカらしくなります。
下半身はタイツのままでも良いんですが、ヤブ漕ぎなどで体をガードする必要がありますので、アウターパンツを履きます。もちろん水着などで代用可能です。レインウェアはさらにこの上に着ちゃいます。
この商品は耐久性が非常に高いのと、ポケット内がメッシュになっており水抜けが良く小物を入れておきやすいのでオススメです。
ファイントラックのカミノパンツも似たような商品でとても良いみたいですが、沢で使うには値段が高すぎます。
ウェットスーツ
泳ぎの多い沢やさらに寒い沢ではウェットスーツを使います。
この商品はアマゾンで10,000円もしない位の3mmネオプレンスーツですが、これだけで上下のウェアを兼ねちゃうので非常に使いやすいです。キャニオニングやシャワークライミングツアーなどのレンタルではウェットスーツの場合が殆どですね。
私はロングスリーブのフルスーツを使ってますが、沢だとジョンの方が温度調整しやすく便利だと思います。
下の画像は泳ぎメインの川浦渓谷に行ったときの写真です。ウェットスーツの上にアウターを着込んでいます。右の男性は仲間内で最も暑がりでフィジカル強者のTさんです。彼はこのアホみたいに泳ぐ沢でもインナーのみで余裕でした。
以上、沢登りの服装についての解説でした。
思えば学生時代は何も気にせずTシャツにジャージで遡行していた思い出があります。年を取るにつれて年々寒さに負けてきている気がしますね。