【2022年10月30日】 鈴鹿 滝洞谷 沢登り
今年度の沢納めということで、鈴鹿の滝洞谷へ再訪。今回は天気も良く水にぬれないだろうということで、デジ一を片手に遡行を楽しんできました。
●メンバー:私、IVOGさん、NTくん
●装備:一般遡行装備+登攀具 プロテクションはカム、ナッツ類を使った。A1があるのでアブミも必要(2~3個)
●体感沢グレード:3級位 2~5級と様々な評価があるが、コンディションに関わらず3級位が妥当だと思う。滝洞谷を登って5級の沢行くぞ!ってなると危険な気もする。
体感ピッチグレード
洞窟ゴルジュ:A1
井戸底ゴルジュ下部:Ⅳ+
井戸底ゴルジュ上部:Ⅳ+
※井戸底ゴルジュ上部は2018年時より1.5~2mほど埋まってしまい、難易度が下がったようだ。
迷路ゴルジュ:Ⅲ
雨でヌルヌルだと1グレードアップくらい?
●フリクション:ヌルヌルのコケ。登攀があるのでラバー必須。
今回もクライミングシューズは使わず沢靴のみで登攀した。
●見所:石灰岩ゴルジュ
●下山難易度:容易
2018年に行った時と地形図上の破線が変わっている。新しく道ができた??
以前は急斜面を踏み跡便りに下った気がするが、今回は茶野からの下山ルートは明確な踏み跡があり、容易に降りることができた。
●遡行図:『関西起点沢登りルート100』
※一本道なので遡行図は不要。
●コースタイム
駐車場8:40…洞窟ゴルジュ9:10…井戸底ゴルジュ下部10:20…井戸底ゴルジュ上部11:00…迷路ゴルジュ11:40…ゴルジュ終了12:30…茶野13:30…駐車場14:20
●ルート図
遡行
スタート~入渓
墓地前のスペースに車を停め、出発。堰堤を過ぎるとすぐに人面岩に到着です。やっぱり腐り水が溜まっていたため巻き。前回同様に右岸の灌木から懸垂で川床に降り立ちました。
いきなり臭い水たまり。両足を目一杯開いてステミング気味に突破。身長低い人にはお助けヒモ出した方が良いかも。
洞窟ゴルジュ 8m A1
少し進むと早速洞窟ゴルジュへ到着。前回は私が洞窟ゴルジュと井戸底ゴルジュ上部をリードしたため、今回はそれぞれリードしていない方をということでイボGさんリード。危なげなくアブミをかけてA1。終了点は残地ハーケンと新しめのスリングがかかていました。
トラバースライン下の釜は汚くて深いのでギアの落下に注意。プロテクションはカム、トライカムを使用しましたが、残地ハーケンも3カ所くらいありました。
井戸底ゴルジュを超えるとヒールフックの岩。前回同様私はステミングで、イボGさんはヒールフック気味にかきこみ突破。
いい感じに登れる石灰岩ゴルジュを進んでいくと。
井戸底ゴルジュに到着。
井戸底ゴルジュ下部 7m Ⅳ+
井戸底ゴルジュの下からは本当に井戸のようにぽっかりと空を眺めることができます。ここは私がリード。ホールドが縦を向いており登るにつれてクラックが細くなっていきますが、手はガバなので落ち着いて足をフットジャム気味に登れば問題なく登れます。体感グレードⅣ+位?
上の方はプロテクションが取れなくなってきますが、段々寝てくるのでここまでくれば大丈夫です。終了点は落ち口のチョックストーンで取ります。
井戸底ゴルジュ上部 7m Ⅳ+
ここはイボGさんに交代。ここは右側のスラブ上の枯滝も登れるようですが、前回同様カンテ沿いを登攀。ちなみに釜には前回無かった落石があり1.5~2m位釜が上がった??ため難易度は下がった?感じです。
渓相の変化
2018年と比べてみると差異がわかります。前はもっと苦しんだよなあ??と思い調べてみると案の定埋まっていました・・。ゴルジュが埋まっていくのは悲しいですね。
そんなこともあり、前回は下部からヌルヌルでフリクションが効かなかったためA0を混じえて登攀しましたが、今回はバッチリ乾いていたため問題なく突破。落ち口の滑り台スラブをフリクションで越えていくのがいやらしいです。プロテクションはカムとナッツを使用。終了点は残地ハーケンにて。
ここを過ぎると汚い釜。なんか落石が堆積して浅くなっているような気がします。また、気になるのが左岸の水面から2.5m位の高さにハーケンが打ってある点です。現状打つこと自体難しい高さにあるので、以前はメチャ釜が深かったのか、高さがあったのか、渓相が著しく変わったのかもしれません。
いずれにせよ前回は腰まで浸かり突破しましたが、今回はひざ下くらい。動物の死骸もなくラッキー。
ここはちょっと高いので不安な人はロープを出すとよいかも。ここを超えるとカモシカの滑落死骸を発見。
迷路ゴルジュ 30m4段 Ⅲ
迷路ゴルジュ。石灰岩ゴルジュの見栄えとしてはここが一番良い。
ここは私がリードの予定でしたが、折角なので新人のNTくんがリード。終了点は2段目右岸にカムで。ここでロープをしまい、4段目はフリーで突破。この4段目は前回は雨でぬれてツルツルだったので難儀しましたが、今回は乾いていたので難なく突破。
4段目の滑り台を登るNT君。
ここを超えると最後の釜。前回は胸まで浸かりそうだったのでパスしましたが、今回はちゃんと突破。
ここを過ぎると平凡な渓相に。平凡とは言いますが石灰岩ゴルジュを超えた後だととても癒されます。ここで装備を解除して茶野方面へ。
茶野~下山
駐車場までは紅葉色づく中斜面を登り、茶野経由で下山のルートを取る。NT君は新人ではあるが大学ワンゲル部で鍛わった体力モンスター。超スピードに30代2名は付いていくのがやっと。あっという間に茶野へ。茶野は地元民から人気の様で、いい感じのおじさんたちでにぎわっていた。
ここから北側の破線沿いに下山。林業従事者のルートができたのか、地形図上の破線ルートも変わり、前回は急斜面を踏み跡沿いに下ったが、立派な登山道ができていた。このルートはいつからあったのかはわかりませんが、いずれにせよ楽に下山できました。
思ったよりも早く下山できたのでそのまま帰宅。
今回2度目の滝洞谷でしたが、やっぱり素晴らしい沢?でした。
またそのうちこよう。
【2022年7月2日】南アルプス戸台川 イワンヤ沢 沢登り(左股遡行右股下降)
滝洞谷やR口ルンゼ、そしてこのイワンヤ沢に存在する石灰岩ゴルジュは洞窟のように深く切れる威圧的な風景が魅力。ケイビングもやっていた身としては一度訪れたい場所でした。数年前の豪雨の影響か、WEB上の以前の記録とは渓相が全く異なっておりました。特にF3,F4に関しては数メートルの差異があり、水の力の凄まじさを実感する山行でした。
●メンバー:私、IVOGさん、TSちゃん
●装備:一般遡行装備+登攀具 プロテクションはハーケン、カム類を使った。アブミも必要。
全体的に岩が脆く、ハーケンが効きにくいため神経を使う登攀となった。
●体感沢グレード:4級位 沢としては非常に短く迷うところも無いが、登攀要素が強いため4級とした。
●フリクション:ヌルヌルのコケ。登攀があるのでラバーが良い。今回は私はラバーソールの沢靴、TSちゃんはフェルト、IVOGさんはフェルト→フラットソールで臨んだ。
●見所:圧倒的ゴルジュ
●下山難易度:容易
●遡行図:無し ※少なくとも2019年以前とは渓相が異なっています。
遡行図はイボGさんが書いてくれましたので、下記ご参照ください。
イワンヤ沢 左俣(右俣下降) 20220702 - 続 イボGの山
●コースタイム
仙流荘(6:10)=バス移動=戸台大橋(6:15)…戸台駐車場(6:30)…イワンヤ沢出会い(7:00/7:15)…二股(8:30)…左股遡行…左股ゴルジュ突破(12:50)…右股下降…二股(15:00)…イワンヤ沢出会い(16:00)…仙流荘駐車場(18:00)
※2022年7月2日現在、戸台駐車場までのルートが一般車両通行止めのため、戸台大橋までは南アルプス林道バスを利用した。
ルート図
遡行
スタート~出合
上にも書いた通り、法面部の土砂崩れのため戸台駐車場までの道が一般車両となっていたため、南アルプス林道バスに乗車し戸台大橋からスタート。南アルプス林道バスはシーズンに入ったこともあり長蛇の列。10台のバスを所有しているようだが、全て出払っても乗れないほどでした。
戸台駐車場からは30分ほど河原歩きを楽しむとイワンヤ沢出合いに到着。出合いから真っ白な石灰岩を見ることができ、ワクワク感が高まります。不要な荷物はここにデポしてスタート。
出合い~二股
出合いから進むとすぐに12m滝。ここは右岸にビッチリとトラロープがフィックスしてあります。
平凡な沢を進んでいくと、目の前にデカい石灰岩の岸壁が見えてきます。クリスシャーマが登ってそうなカッコイイ壁です。壁が見えると名物?の洞窟状滝に到着です。中に入ってみるとガッツリハングした滝。右岸から簡単に巻けます。
出合いから一時間ほどで二股に到着。覗いてみると、今までの穏やかな風景から一転して凄まじいゴルジュ。これぞ石灰岩ゴルジュ!素晴らしい!
ここで登攀具などの準備をして左股遡行開始。
左股遡行
F1 4m
F1は右側から上がり、チョックストーン左側をジャミング。下山後過去記録を見ると、下部の岩はもっと埋まっており、1mほど高くなったようです。
F2 8m 核心①
第1の核心。IVOGさんリード。下部が悪い。最初にフェルトソールで取りついてみるものの、全くフリクションを得られなかったようで、フラットソールのクライミングシューズに履き替えトライ。
中間に残地ハーケンあり。全体的にこの沢はリスに乏しく岩が脆いため、ハーケンを打ち込みにくいです。落ち口に半効きのハーケンを打ち突破。
滝の上の支点は滝上の残地ハーケンで。
F3 4m F4 7m 核心②
F3,F4は最初は私がリード。上部でIVOGさんにバトンタッチ。
詳細は後述しますが、以前はF3が第2の核心となるチョックストーン滝でF4は3mほどの滝だったようです。F3のチョックストーンが外れ、F4下部に堆積していた土砂も含めて軒並み流出したため、地形が変わったようです。ここが一番の核心でした。
F3は右岸からトラバースで問題なく超えられるものの、F4下部はツルツルでホールドも乏しくメチャクチャ悪い。
取りつきは5級くらいのボルダームーブで上部のガバを取り、マスターカムオレンジをきめる。ここから上部のハングまでは非常に悪く、IVOGさんとリードを交代しながらトライを重ねるもののどう頑張っても登れない。私もIVOGさんもフォールしマスターカムがぶっ飛ぶ。
何とかキャメロット0.75と1.0をきめてA0。ここで固め取りしたのは0.75をきめた岩がグラついていたからです。このクラックもいつ壊れるのか…。
上部はホールドが細かく岩がボロボロでプロテクションも取れず、沢靴での登攀に心が折れ、IVOGさんに交代(なすり付け)。IVOGさんは見事雄たけびを上げながら突破。ナイスクライミングでした。
ハング下は結局沢靴でもノーテンで登れましたが、プロテクションがとり難いのと細かいホールドに立ちこむムーブになるため(体感6~5級位のムーブ)、クライミングシューズを持って行った方が無難です。
渓相の変化
後日WEB上で過去の記録と照らし合わせてみると、F3の下部に落ちている岩がチョックストーンとしてF3落ち口上に挟まっていたことがわかりました。
また、F4の釜には土砂が堆積していたようです。おそらく右画像の黄点線ラインが以前の水面ラインとなります。赤点線は登攀ラインです。
こんなにデカい岩が流されてくなんて、想像もできないような増水があったのでしょう。いずれにせよ、以前の記録とは全く異なる状況になっているので遡行の参考になれば幸いです。
下記の記録と比較してみると変化がわかりやすいと思います。
※サワグルイ様、ClimbingAlone様、勝手にリンク張ってすみません。
F4を越えると渓相は穏やかになり、癒し系の沢に。少し進んだところで左岸が切れるのでそこから上がれば10分もかからず右股に降りることができます。
右股下降
右岸と左岸がアシメな滝の下から少し下ると右岸ゴルジュがスタートです。
今回は50mロープ2本で3ピッチの下降でした。中間支点が乏しいので1本だと滑り台で下降することになります。どの滝にもある程度の深さを持った釜があるので飛び込みで下降しても何とかなりそう。
残地支点。他ボルトなどは見られなかった(見落としていた?)です。
岩が脆いから残地ハーケンなどもすぐに落ちてしまうのかもしれません。
画像左はF7?昔はラダーがあったそうですが、何もありませんでした。
ぱっと見ツルツルで弱点が無く登るのは難しいというか無理って感じです。右股は下降のみなので気楽にゴルジュを楽しみながら降りることができました。右股も左股もものすごいゴルジュ!
F1。左側のクラックをエイドを交えて登るそうですが、左岸からも巻けそう。
無事ロープもスタックせず懸垂し、往路下山。復路は終バスの時刻を過ぎていたため仙流荘駐車場まで徒歩で帰りました。
西表島 ゲーダ川 沢登り【2021年12月11日】
知人をガイドしてきました。沖縄の離島なのに山間部に行きたいというオーダーだったため、初心者でも楽しめる沢&トレッキングコースをご案内。
初日の午前中は手軽にサクっと楽しめるゲーダ川へ。ここは西表島ならではの滝を楽しめ、かつ行動時間2時間程度で行けるので体力のない方にもおすすめです。
ルートも一辺倒なので迷うことはないでしょう。
●メンバー:私、Sさん、O爺
●装備:一般遡行装備
ほぼ歩きなので特別な道具はいらないで。靴さえあればOK。
民宿マリウドにて300円でフェルトシューズをレンタル可能。
●体感沢グレード:1級
●フリクション:ヌルヌル。フェルトがオススメ
●見所:南国特有の渓相
●駐車場:大見謝ロードパーク
●コースタイム:大見謝ロードパーク(9:30)…ゲーダの滝下部(10:10)…ゲーダの滝上部(10:30)…大見謝ロードパーク(11:20)
ルート図
駐車場はココです
遡行
石垣島から始発のフェリーに乗り西表島レンタカーにて車を借りて大見謝ロードパークへ駐車。隣の大見謝川を遡行するときもここに駐車します。
今回同行する二人はトライアスロン選手なので体力はバッチリ。O爺は70過ぎですがメチャクチャ元気です。
ゲーダ橋の脇に明瞭な踏み跡があるのでここから入渓します。
ゲーダの滝までは平凡な沢歩き。ジャングルの植生を眺めながら歩きます。
ほんの三十分ほどでゲーダの滝下部へ。12月といえど西表島は蒸し暑いので、水に入ってはしゃぐO爺。ゲーダの滝は3段の滝となり、西表島に多くあるミルフィーユのような堆積岩の滝です。
右岸の踏み跡をたどるとそのまま2段目、1段目と登ることができます。
一段目からは海を見渡すことができ、天気の良い日には最高です。
サクっと下山。
大見謝ロードパークに戻り、午後は大見謝川を遡行します。
西表島 ユチン川~幻の湖~イタジキ川~西表縦断路 沢登り【2021年3月13~14日】
今回はユチン川から遡行し、イタジキ川の源流部にある『幻の湖』を通過して縦走路沿いに下山してきました。近年『幻の湖』までのツアーが出ているらしく、ルート整備され過ぎているのがちょっと残念でした。
●メンバー:私、TBさん
●装備:一般遡行装備+登攀具一式 50mダブルロープ
懸垂下降ポイントは幻の湖直下の滝とマヤグスクの滝の二か所。
マヤグスクの滝における懸垂下降は50mあれば十分です。トップは右岸寄りに下降するようにすれば、水量が多い場合も流芯を避けて降りれます。
また、西表島ではハーケンやカムなどのプロテクション類は不要です。引っ掛かる植物が多いので捨てヒモを用意しておくと良いです。
水は全体的に濁っているので浄水器を持っていきましょう。
●体感沢グレード:2級 要読図
●テン場:幻の湖以降は割と多め
●フリクション:ヌルヌル。フェルトがオススメ
●見所:南国特有の渓相
復路マリュドゥの滝方面に向かう場合は、浦内川遊覧船の時刻に注意。
ルート図
ユチン川から入渓し、幻の湖を越えたところにある平地をテン場に。イタジキ川に入るとテン場は沢山あります。今回はちょっと長いですが、浦内川遊覧船を使わずに縦断路を大富林道側に抜けました。
1日目
ユチン川(7:45)~ユチンの滝(8:45)~幻の湖(12:40)~テン場(14:40)
前日はレンタカーを借りてミトレアキャンプ場に宿泊。ユチン橋脇にある駐車場に留めてスタート。
ユチン川はユチンの滝までのリバートレッキングツアーがよく出ており、登山道もよく整備されています。橋から右岸側に少し離れたところに登山口があるので初見だとちょっと迷うかも。ここに来るのはもう3度目なので、サクサクと進みます。
西表島名物の大きなポットホールやヌメヌメのナメを歩きながら登山道を進みます。
西表島全体に言えることですが、コケの生えた平たい砂岩なので雨が降った後はメチャクチャ滑ります。
リバートレッキングなどで訪れる際はフェルトシューズを借りると良いです。民宿マリウドで1足300円でレンタルできるみたいですね。
1時間ほどでユチンの滝に到着。右岸から巻きあがると滝上に出る事ができます。
遠くに見える海を眺めながら大休止。
ユチンの滝からは古見岳に続く登山道があります。過剰なまでに多いピンクテープに少々興ざめしながら沢を登っていくと、予定していた分岐を過ぎて古見岳分岐まで来てしまいました。踏み跡多くボケっとし過ぎた・・・。
画像左の赤線が正しいルート。
分岐を越えて緑線のルートに入ってしまいました。戻るのも面倒だし、そのまま詰めて尾根沿いをトラバースしていこうと進んでみましたが、地形図で平たくなっているところはツルアダンの密集地帯でした。
日本では小笠原諸島と八重山諸島にしかないこのツルアダンのヤブは非常に厄介で、強靭なツル状のアダンが複雑に絡まっていて全く進めません。少し樹に登って眺めてみましたが、これが延々と続いていたので素直に引き返しました。1時間のロス。
画像左の青テープが括り付けられているところが正解となる分岐です。
ここを進むと、さっきのツルアダンは何だったのかと思うくらいにサクサク分水嶺を越える事ができます。ここから幻の湖までも赤テープだらけ。ほぼトレッキングルートですねこりゃ。歩きやすくて良いのですが。
小川や瀞沿いを進みます。平たい地形なので川はほぼ停滞しており、あんまり入る気がせず、素直にルート上を歩きました。
テープが多いので迷うことは無いと思いますが、平たいのでルートを外れないように注意。
幻の湖到着。うーむ。これが幻の湖かぁーーって感じ。
川のカーブに大瀞がある地形になっており、確かに沼っぽい形ではありますが、『幻の湖』というネーミングは適切ではないと思います。
でも前々から来たいと思っていたところなので来ることができて満足。ここで大休止を入れて出発。
幻の湖を越えると地形に変化が出てきます。直下に5m滝があり、滑りやすいゴーロ帯となります。ここは右岸の灌木から懸垂下降します。
次第に渓相が変わっていき、200m程続くナメ床が出てきます。
段々と水量が増えてゆき、枝沢の合流地点から少し過ぎたところにある幕営適地で1日目の行動終了としました。
ここは3年前にヒナイ川から遡行した際も泊まったところです。水はソーヤーミニで浄水して飲用しました。ここの水をそのまま飲む気はしません。
2日目
テン場(8:15)~マヤグスクの滝(10:00)~西表島縦断路分岐(10:20)~大富林道出合(13:25)~大富バス停(15:20)
2日目です。夜泡盛を飲みすぎ、若干酔っぱらった状態でスタート。
テン場を過ぎてヒナイ川の分岐と合流すると、一気に水は淀み、大瀞が続きます。
3年前は皆でワイワイ泳ぎましたが、今回は泳ぐのが面倒だったので全て巻きました。西表島は全体的に平坦なので、どの瀞も容易に巻けます。泳ぐの苦手な人でも大丈夫。
大瀞が終わるとゴーロ帯に入ります。ここも適当に下っていきます。
平たいナメになるともう間もなくマヤグスクのゴルジュ。西表島独特の地形ですね。このあたりから、マヤグスクの滝までが西表島の沢で個人的には一番好きな場所です。
マヤグスクのゴルジュです。やっぱりこのゴルジュはカッコイイ!
ここは右岸奥にある灌木から懸垂下降するのが定石となりますが、流線沿いにフリーで降りる事も出来なくは無い。
と言いつつ素直に懸垂。
ここは増水時は結構水流が強いので、トップは画像の様に流芯を避けて右岸寄りに降りるようにしましょう。ロープは50mあれば余裕です。
マヤグスクの滝に訪れるのは今回で5回目となりますが、この滝はいつ見てもカッコイイです。ここからはトレッキングルートとなるため、整備された登山道沿いに下山して行きます。
縦断路出合い。ここで右に曲がってカンピレー・マリュドゥの滝方面に向かえば一時間半位で着くのですが、遊覧船乗船代を往復分取られるのが嫌だったので、今回は長い長い大富林道側へ下山しました。
分岐から大富バス停までは約16キロ、5時間の長い長い道のりです。ここを歩くのはもう4度目。
縦断路自体は昔遭難者が出たことにより非常によく整備されており、倒木などはありますがピンクテープや看板も多く、まず迷うことはありません。15:32発の最終バスに間に合いました。
バスは一日4本しか出ていないため、うまく時間調整しないと結構待つことになります。時間によっては大富のタクシーを用いると良いです。
今回も天候に恵まれ、最高の沢遠征となりました。このルートは整備された箇所が多く、沢というよりはトレッキング的な要素が高かったので難易度は高くは無いですが、道迷いしやすい地形となるので沢グレード2級としました。スマホのGPSなど活用した方が良いでしょう。
境川 大畠谷右俣(オバタキタン) 沢登り 【2020年9月20~21日】
概要
今年度の目標の1つであった大畠谷右俣に行ってきました。ここは通称オバタキタン(大畠谷北谷?)と呼ばれています。噂通りの素晴らしいマルチピッチを楽しめる沢でした。
●メンバー:イボGさん、TUBUさん、RYOさん
●アクセス:桂湖南端部大笠山登山口に駐車
※ほぼ路駐になり、登山者も多いため早めに行かないと大分手前に駐車させられることになります。
●装備:一般遡行装備+登攀具
※カム類は殆ど出番無し。ハーケンを多めに持って行った方が良い。イボイノシシの記録があり持って行ったが使わなかったです。
●沢グレード:5級
●フリクション:とても良い。ラバーでもフェルトでも可
●下山難易度:登山道があり容易だが長い。北側の開津谷を下降するルートも一般的らしい
●遡行図:『渓谷登攀』他WEB上に転がっているものを
※ネット上のものでは、京都雪稜クラブ様の遡行図が一番見易く正確だと感じました
(下記参照)
京都雪稜クラブ:2005年09月 白山 大畠谷右俣〜開津谷(沢登り)遡行図
●テン場:二股は思ったよりも広い。雪渓無ければ3P位余裕で行けそう。ただし、薪は少ないです。
●コースタイム:
1日目
入渓地点(6:55)…2段25m(7:50-9:10)…2連続CS滝(10:45)…2段40m滝(14:00-14:55)…二股(15:20・泊)
2日目
登攀開始(6:30-10:10ロープ解除-11:00巻き終了)…40m滝(11:40)…15m滝(11:55)…登山道出合い(11:55)…大笠山山頂分岐(14:10)…駐車場(17:20)
●入浴:くろば温泉 料金600円 営業時間21時まで 食事処有り
ルート図と縦断図
遡行記録:1日目
入渓
大笠山登山口に駐車し、準備をしてスタート。大笠山は割と人気らしく、連休等言うことも相まってほぼ満車。ここに駐車しないと数百メートル戻ることになります。
登山口の橋向かって左手に踏み跡があり、降りると即入渓できます。ダム満水の場合は初っ端泳ぎみたいですが、今回はダムの水量少なかったため全く水はありませんでした。
暫くは普通。序盤は釣り人が多く入るらしい。
核心①:2段25m滝の巻き
1時間ほどで2段25m滝に到着。ここで先行パーティーに追いつきました。ここは少し戻って奥の10m滝ごと左岸から巻き。先行パーティーは右岸から巻いてました。
一部高度感のある草付きや落石しやすいところもありましたが、懸垂下降せずに降りる事ができました。時間にして1時間20分ほど。
Fig1 喜びに満ち溢れるRYOさん
巻き終わると暫くは普通。明るく開けており気持ち良い。
核心②:ゴルジュ内小滝帯
暫くしてゴルジュに入ると小規模な滝が連続します。ここは右岸からフリーで。
ここは左岸から容易。他いくつかの簡単な小滝を登っていきます。
2連続CS滝。ここは奥のCS滝が明らかにムリそう。左岸の草付きを巻き、奥のCS滝の斜め上辺りの残地支点を使い懸垂下降。
残地支点は2か所、古いハーケン3枚にスリングが掛かっているものと、その下に伸びきったリングボルトに新しいハーケンが打ち足されたものがありました。
CS滝後も小滝が続きます。
ここは1段目はフリーで容易。2段目は流真右側から登ります。
2段目はロープを出してイボGさんがリード。ハーケン2枚で支点構築し後続確保。中間支点はとれません。
個人的には小畠谷でここが一番悪かったです。ホールドが細かい上に小さなフットホールドに立ちこみムーブになるのがいやらしい。
ここは左岸から。落ち口が悪いので念のためロープを出しました。
最後は快適なシャワー。ここを過ぎると暫くゴーロ帯歩き。
柱状節理の岩壁も出てきます。
核心③:2段40m滝の巻き
二股が大分近づいてくると、1日目最後の核心となる40m滝が現れます。
ここは左股の枝沢からルンゼを登り、右岸のバンドを経由して巻きます。我々は少し登り過ぎてしまい、バンドの上に出てしまったので懸垂下降。丁度降りたところが滝の落ち口でした。うまくルート取りが出来れば懸垂下降無しで巻けると思います。
落ち口から40m滝を見下ろす
あとは適当に進んでいくと、二股に到着!圧倒的スケールの大スラブに一同大興奮!!
Fig2 RYOさん大興奮
明日のルート等を確認した後は、テキトーに巻きを集めてタープを張り幕営。思ったよりも河原が広いため幕営適地は多いですが、立木等が無いためタープが張りづらいです。薪をポール代わりにして設置。薪は少な目だけど木目の密な流木が多いため、火が長持ちしてある程度焚火を楽しめました。
夜はエアーマットがパンクしたうえ、雨が降り端に寝ていた私はもろに水を浴び寒い夜を過ごしました。おかげで翌日体調不良に苦しむことに。
遡行記録:2日目
核心④:大スラブ登攀
4時起床の6時30分から登攀開始。前夜に雨が降ったが、風の通りが良く岩はほぼ乾いた状態でした。ルート取りは上記の通り。ゴルジュ手前から凹角沿いを登り、トラバースしてルンゼの所からスラブ登攀といったルートを選択しました。後で調べてみると黄色いラインから取り付くのが一般的みたいです。
難易度は全体的にⅢ級位となり難しくはないですが、岩が非常に脆くハーケンを打つと剥がれるものばかり。プロテクションが取れるところが少なくリードクライマーはほぼフリーで気を抜けないクライミングになります。また、浮石が多く後続に落石を落とさない登りとルート取りが重要です。
・1ピッチ目(私がリード)
凹角から登り落石が積もったバンドでビレイ。凹角にカムが決まるが、終了点はバンド貧弱な木の根っこと殆ど効いてないハーケンのみ。
・2ピッチ目(イボGさんリード)
バンドからルンゼにトラバース。50mロープほぼ一杯に使います。ルンゼのクラックにはハーケンバチ効きですが、中間支点となるリスは乏しくハーケンの効きも悪い。
・3ピッチ目(私がリード)
ルンゼから取り付き、右上気味に登ってゆく。ここも50mほぼ一杯。プロテクションは殆ど取れなかった。このあたりから浮石が非常に多くなるため注意しながら登ります。終了点として使えるクラックやリスはわずか。
・4ピッチ目(イボGさんリード)
3P終了点から樹林帯を目指して左上気味に。ここも難しくはないが、剥がれかけの岩に乗るので慎重に。振り返ると左股の大滝と右股のゴルジュを眺めることができます。見るからに突破困難な滝が見えます。
・5ピッチ目(私がリード)
ルンゼ沿いに樹林帯沿いを登ります。灌木が多くなったところでピッチを切り、ロープ解除。
下降~詰め~下山
ここからまた沢に戻るために下ります。途中のルンゼトラバースは下部はちょっと悪そうなので上部から。ルンゼを渡った尾根から沢に向かってヤブ漕ぎ。高く太い樹の方に向かって進むのがポイント。
懸垂の記録が有りましたが、そのまま歩いて降りることが出来ました。
ここで沢に下る際イボGさんがマムシに気づかず斜面を滑り降りたのが本山行において一番のピンチでした。マムシも巨大生物にのしかかられビックリしたでしょう。
沢に下ると渓相は非常に穏やかになります。大休憩をとって詰めに入ります。
40m滝はホールド豊富で緩やかなためフリーで越えます。40m滝を過ぎて暫くすると二股になっており本流側には15m滝が掛かります。ここで最後の給水し、左股の支流を詰めて行くと間もなく水流が途絶えてヤブ漕ぎパートに入ります。
ヤブはそこまで濃くは無いです。日本海側特有の粘り気のある木々をかき分けたり乗り越えたりして行く感じでササは少な目。1時間ほどで登山道に合流。
後はアップダウンのある長い長い大笠山登山道を4時間半ほど歩いて下山。体調不良のうえ、フル装備で標高差1200m以上の道のりが辛かったです。登山道は非常によく整備されており、迷うところは特にありませんでした。
帰りは『くろば温泉』にて入浴と食事を済ませて解散。
下山が長くて大変でしたが、最高のロケーションを堪能できる素晴らしい沢でした。
鈴鹿 渋川 沢登り 【2020年8月23日】
天気予報が悪かったので、近場で短く楽しめる沢ということで渋川に行ってきた。ボルダリング的な楽しさでサクッと短時間で終わる沢。残地が多すぎるのがマイナスか
●メンバー:KNSさん
●アクセス:滋賀県愛郷の森Pに駐車(P代500円)
●装備:一般遡行装備+登攀具●体感沢グレード:2級
※一般的に3級とされているが、現在残地の多さや尺の短さからもはや初心者に楽しんでもらえるような設備の整った沢となります。よって水量に関わらず沢グレードとしては2級と判断。
●フリクション:普通。ボルダームーブが出るのでラバーが良い
●見所:いい感じに登れる小滝群
●下山難易度:容易 川沿いに舗装路有り。
●遡行図:『さわナビ』様より
●コースタイム:駐車地点(9:00)…遡行終了点11:00)…駐車場(11:30)
ルート図
遡行
愛郷の森駐車場に駐車して準備をしてスタート。愛郷の森は入り口で管理人に500円払い駐車許可証をフロントに置き駐車。キャンプ客やファミリーが沢山居る中、駐車場からすぐの砂防堰堤を越えて入渓。
暫くは河原歩きとなります。いくつか堰堤を越えるのですが、画像のように酷く浸食されているものも。いつ作られたものなのだろうか。
今日は天気予報に反してカンカンの晴れでした。水は暖かく水量も少ない。適当にジャブジャブと体を冷やしながら歩いて行きます。
橋を越えるとやっと沢登りっぽくなります。
最初の登りポイント。先行パーティーが居ました。
通常はこの右岸のオニギリのような岩の右側を登りますが、ロープを出していて時間が掛かりそうなので左岸をトラバース。ちょっと微妙なボルダームーブでしたが無事抜けられました。オニギリ岩脇を登るよりもこちらの方が悪いです。
続いて2段8m。上部にはキャニオニングを楽しんでいる方々が懸垂下降の準備をしていました。ここは右岸の3段になったテラスから登ります。2段目に登るところが結構悪いのですが、残地ロープが設置されているのでこれを使えばサクッと登れます。
残地に頼らない場合はマントル失敗すると下まで落ちるのでロープを出した方が良いです。
この沢は画像のように至るところにボルトや残地があります。殆どすべてキャニオニングツアー会社が打ち込んだものでしょうが、打ちすぎです。職業上あんまり文句は言えないんですがね。
ここは左岸のチョックストーはンからボルダームーブで登ります。要スメアなのでフェルトだときついかもしれません。左岸上部には残地ハーケンあり。右岸にはハンガーボルトがあるので流真脇をトラバースしてもいけるのかもしれません。試したことは無いですが。
ここはあえて流真をシャワーで直登。水量多い場合は左岸から快適に登れます。
沢ボルダーを楽しむKNSさん
核心部です。ここは左岸はヌルヌルで相当悪い。左岸から突破する場合はショルダーで後続をフィックスであげます。右岸から行く場合はトラバースとなります。落ち口がちょっと悪いのでメンバーによってはロープを出した方が無難です。キャメ#0.4あたりが効きます。
今回は流真を直登しようと試みましたが失敗。今回はたまたま上に居たパーティーがお助けヒモを出してくれたのでご厚意に甘えてそのまま抜けました。
プチ廊下と泳ぐKNSさん。
ラストの4mは水量が少なかったので滝身を登りました。フリーで水流を浴びながら爽快シャワークライミング。
ここを越えれば終了。舗装路沿いに30分程下って駐車場へ。
帰りは『池田牧場』にてイタリアンジェラートを食べて帰路につきました。
庄川 木滝谷 沢登り 【2020年8月16日】
お盆最終日の沢行。記録もあまり無いため軽い気持ちで臨んだ沢でしたが、思った以上に面白く、素晴らしい沢でした。
●メンバー:私、IVOGさん、HTNさん
●装備:一般遡行装備+登攀具
●体感沢グレード:3級位 登攀・巻きがちょっと悪い
●フリクション:滑りまくり。フェルトの方が良いかも
●見所:連続する滝 ゴルジュ
●下山難易度:容易 舗装路に上がる
●遡行図:無し
●コースタイム
駐車ポイント(9:15)…高滝(10:10)…10m滝(11:00)…20m滝(11:20)…流木だらけの20m滝(12:30)…砂防堰堤(13:45)…出渓地点(14:40)…駐車ポイント(15:40)
ルート図
遡行
白川インターから白川郷を抜け、天生湿原に至る国道の途中『中瀧橋』の脇に駐車、準備をしてスタート。
いつもはここは秋に仕事で行くルートで、夏に来るのは初めてです。周りはブナやカエデ類に囲まれた良い感じの森。
駐車Pからも見える中滝。
早速の巻きです、ここは右岸巻き。割と新しめの踏み跡とピンクテープが。
なぜかこのあたりだけピンクテープがやたら多いです。別に迷うようなところじゃないんですが。
滝を越えると良い感じの渓相になるのですが、この沢全体を通して非常に滑ります。登攀系ということもありラバーソールのシューズを履いてきたのは失敗だったかも。
暫く進むと高滝に到達。凄い迫力の滝。滝つぼは水しぶきと風が凄いです。
ここは左岸から高巻き。高度感があり、若干悪いところもあるのですが灌木が強いので掴むところは沢山あります。個人的に豪雪地帯の灌木って細い木でも粘りが強くて抜けにくい印象です。
続いて10mの直瀑。ここは右岸側が登れそうだったのでイボGさんがリード。リスもクラックも殆ど無く、途中キャメロットを1ヵ所決めて突破。
この沢は片麻岩が多い印象。たまに石灰岩も転がっているのですが、目立った露頭は特に見られなかったので上流から転がってきたのかもしれない。
続いて20m。ここは私がリード。
流真左側から灌木を支点に取りながら登ります。
落ち口あたりがブッシュを掴みながら乗り込む感じでちょっと気持ち悪い。
滑り、ホールドが乏しく割と悪めなところが多いです。登れなさそうなところは適当に巻きます。
流木だらけの20m。ここは登攀は無理そうなので左岸から巻き。
ここの巻きは悪いのでHTNさんがリードでロープを出しました。
泥付きを10m程登ったところから左岸のバンドをトラバースして灌木に支点を取りながら巻きます。写真を撮り忘れた・・。
最初のトラバースが悪く、初見では中々選ばないルートかもしれませんがここを選ばないと結構な大高巻きになるかもしれません。
ここから上は泳いで取り付いたり巻いたり適当に進めます。
砂防堰堤を越えると突如、沢は穏やかな小川になります。
しばらく進むと道があり、ここからあっという間に出渓。
国道を1時間ほど下り駐車ポイントへ。今回はお盆中ということもあり混雑を避け入浴せずに帰路へ。