ムカデのおにいさんのブログ

ムカデのおにいさんのブログ

登山ガイド・森林インストラクターとして登山ツアーを作っていたりします。沢と山と自然観察の情報発信と記録のブログ。

沢登りに必要な装備のまとめ オススメ装備と沢登りの始め方をご紹介

本記事ではこれから沢登りを始めたい人に向けて、沢登りの概要と必要な装備を簡単に紹介します。

 

 そもそも沢登りとは?

 沢登りとは沢を登って山に登る登山です。
渓流での遊びはキャニオニングだとかラフティングだとか色々ありますが、なんだか沢登りというとダサいというかあまり女子ウケしそうに無いネーミングですよね。

ただ、ひとことに沢登りと言っても様々です。
穏やかな流れの中でイワナを釣りながら歩くこともあれば、急流を泳いだり、滝を登攀したり・・と目的によって楽しみ方が異なります。
色々ありますが全部まとめて沢登りです。

f:id:sawakaido:20190911193526j:plain

写真左:神崎川本流 泳ぎがメインの沢です 写真右:滝洞谷 クライミングがメインの難易度の高い沢です

私はほぼ全ての登山ジャンルを楽しみますが、沢登りが一番好きなんです。
アルパインライミングなどは限界への挑戦だとか、目標の~に登る!だとかどちらかというとスポーツ要素が強いのですが、沢登りは自然と一体になって楽しむ、自然体験要素の方が強くなってきます。※あくまでも個人的意見ということで・・
観光名所になるような絶景の真っ只中を泳いだり、夜誰も居ない山の中で焚き火をしながら眠ったりと、非日常の中で自然を満喫できる素晴らしい遊びです。

f:id:sawakaido:20190911193730j:plain

写真左:北アルプス金木戸川小倉谷
写真中:大台ヶ原 堂倉谷
写真右:大峰 白川又川

私の場合はプライベートの山行では3月の終わりから11月位まで、休日は沢登りに行きます。今年はケガをしてしまった事もあり大幅に日数落としてますが、大体例年35~40日間程沢登りに行っております。ちなみに沢に情熱を燃やしている人たちを「沢屋(サワヤ)」なんて言ったりします。

f:id:sawakaido:20190911194148j:plain画像左:沢での焚き火
画像中:大滝をクライミング
画像右:天然のイワナ

 

沢登りに必要な装備

 沢登りの基本装備はこんな感じです!

f:id:sawakaido:20190911194328j:plain

①ヘルメット

転倒や滑落の危険があるため必ずヘルメットを着用します。クライミング用でしたら何でもOKです。

 

②ウェア

濡れても保水しない保温性の高いものを着用します。

ウェアについての詳細は下記にまとめてあります。

scolopendra-oniisan.hatenablog.com


気温や水温に応じて適宜レイヤリングして調整します。通常の登山と同じですね。
通常の登山シャツやレインウェアなどを組み合わせて沢登りをしている方も居りますが、専用ウェアが快適です。
専用ウェアはモンベルやファイントラックなどから販売されております。詳細は各社のHP等をご覧ください。

沢登り用のウェアには各社独自の水はけの良い素材やウェットスーツに使われるネオプレンなどの素材が使われています。泳ぎが多い沢では、ダイビング用のウェットスーツそのものを着用することもあります。

③ザック

通常のザックを使います。

ザックの詳細は下記にまとめてあります。

scolopendra-oniisan.hatenablog.com

内側は防水スタッフバッグを2重にしてしっかりと防水します。沢登りでは水圧がかかりますので、2重にしないと浸水することがよくあります。学生の頃は大きなゴミ袋で代用してました。しっかり縛ればほぼほぼ大丈夫です(カメラを2台ダメにしてますので自己責任で)。
また、私は水はけをよくするために、ザックの側面と底面に穴をあけています。

④靴

沢登り専用シューズを用います。

靴についての詳細は下記にまとめてあります。

scolopendra-oniisan.hatenablog.com


人によっては釣り用の渓流タビや作業用のゴムシューズなどを使う方もおります。これらのシューズが無い時代には、地下足袋にワラジというのが一般的でした。
現代の沢登りのシューズはソール(靴底)がラバーのものとフェルトのものがあり、それぞれ特徴があり一長一短です。私はセールやアウトレット品などで安いものを見つける度に購入してしまい、フェルトは予備含めて4足。ラバーはソックスの厚みに合わせて異なるサイズ感のものを3足ストックしています。

f:id:sawakaido:20190911195408j:plain

下3足がフェルト、上3足はラバーソール

●フェルト

f:id:sawakaido:20190911195505j:plain

フェルトはヌルヌルとしたコケに乗っても滑りにくいので、オールラウンドに活躍できる靴底です。ただし、ソールの減りが早く割とすぐにダメになってしまいます(大体山行日数15~20日位でしょうか)。また、アプローチ、泥壁などではフリクションが全く効かなくなることがデメリットです。

●ラバーソール

f:id:sawakaido:20190911195541j:plain

水の中でも滑りにくい特殊なゴムを使ったソールです。が、ヌルヌルとした茶色のコケの上に乗るとツルーンと滑ります。その一方、苔の生えていない濡れた岩に対して非常に大きな摩擦力がありますので、クライミング要素の高い沢にお勧めです。
また減りが遅いため、通常のシューズの様に扱えるので沢に入るまでのアプローチシューズを兼ねて使うこともできます。

どちらが良いの?と質問されることがよくありますが、個人的には最初の一足はフェルトシューズのものをオススメします。価格が安めなのと、ラバーソールのようにクセが無く全体的に滑らないので歩きなれていない初心者の方でも安心です。

⑤ハーネス

沢登りでは懸垂下降などのクライミング技術を用いますのでハーネスを着用することも多いです。沢ではフリークライミングのようにブチ落ちるクライミングはしませんので、アルパイン用か沢用の軽量ハーネスがオススメです。

⑥その他小物

・手袋

手を保護するためにネオプレンの手袋や軍手を着用します。

上記が基本となりますが、沢登りは非常に汚れますし摩耗の早い登山スタイルなので、作業着メーカーの衣類で代用している人も多いです。特にアウターに着込むヤッケや雨具などはワークマンが最強です。

・沢スパッツ

足周りやひざ周りを覆うネオプレン製の沢用スパッツです。沢登りでは脛やひざをよくぶつけるので保護のために用いるのと、保温性を高めるために使用します。

ちなみに私は邪魔なので使ってません。

沢登りのはじめ方


地形図やルート図などで行き先・ルートを決めますが、未経験者がネットや本の情報だけで沢登りに行ってはいけません。。
増水や道迷い、滑落などで簡単に死亡事故に繋がります。
しかし、場所を選んで行けば難易度の低い沢も多く特別難しい事はありません。沢登りをはじめるには下記の方法があります。

①山岳会に入る
あまりお金をかけたくないと思うのならば山岳会に入るのが一番です。
デメリットとしては、誰かが教えてくれるだろうと受身姿勢なお客様気分でいると誰も教えてくれません。自分の時間とお金を使って、ワザワザ赤の他人に教えてあげることにメリットはありませんよね。なので、熱意と自身で調べる姿勢が大事になります。

また、教える側もプロではありませんので、間違った技術を教え込まれたり、本人のレベルを超えた危険な山行に同行させられる事もしばしばあります。
私はこのパターンで初心者の頃から上級者ルートに連れて行かれて大変でした。
技術の根拠を説明せず、「ウチではこういうやり方なんだ!」て感じでレクチャーする人が居る所は危険です。最近少なくなってきましたが、悪い伝統を引き継いでいるところも結構あります。無意味にキツい人ばかりな人が居たら、即別な山岳会に入りましょう。

②講習会・ツアーに参加する
とりあえず道具を持っておらず、手っ取り早く体験してみたい方は講習会やガイドツアーに参加するのが一番です。

やっぱりプロから学んだ方が正しい知識を確実に得られます。デメリットとしては費用がかさむということと、ゲストとして連れて行って貰う以上中々一人立ちしにくくなるということでしょうか。

 

以上、簡単にですが沢登りについてご紹介いたしました。これから始める方の参考になれば幸いです。