沢登り用のザック(バックパック)の選び方と使用遍歴からのオススメザック
今回は沢登りで使うザックについてもう少し詳しく書いてみたいと思います。これから沢登りを始める方への情報源になれば幸いです。
装備についての概要は下記をご覧ください。
沢登りで使うザック(バックパック)について
私が沢で使っているザックです。ギアの量にもよりますが、日帰りの沢では20ℓ~40ℓ位。泊まりの沢だと50ℓ~65ℓ位の容量の物を使い分けてます。
水の浸水を防ぐために、中の荷物をシッカリ防水します。防水に関しては後述します。
モンベルや秀山荘などで沢登り専用ザックも販売されています。これらはメッシュ構造になっていたり底面に穴が空いていたりして水抜けが良い構造になっています。
が、結論から言うと登山用のザックを流用してOKです。沢登りも登山ですし。
沢登りでは荷上げやヤブ漕ぎ、泳ぎやチムニーなどで酷使するため、引っ掛かる原因になるポケット類が少なく、丈夫な物ならば何でも使えます。実際山岳会の仲間は古い使わなくなったザックを使っている方が大半です。
実際のところ、そんなに頻繁に行かない方でしたらワザワザ専用の物を買う必要はないと思います。
しかし、通常のザックをそのまま使っていると不便だなと思う場面もあります。また、今は海外輸入も盛んになりキャニオニングザックなどの便利なアイテムが増え、沢登りで使えるザックの選択肢が増えました。今まで使ってみたザックを含めてご紹介したいと思います。
また、通常のザックをちょっと改造するだけで沢登り用ザックとして使いやすいものができますので、併せてご紹介します。
日帰り用ザック
通常の登山用ザックの改造品 TNF TELLUS 32ℓ
使い古したザックに水抜き用の穴を空けて沢用にしております。普通のザックなので特筆すべきポイントはありません。これで必要十分。穴あけについては後述します。
キャニオニングザック trangoworld CANYON 50ℓ
キャニオニング用のザックです。
キャニオニング用ザックは水抜き用の穴があり、またターポリンのものが多く擦れに非常に強いのと、生地自体が保水しないので乾きやすいです。
沢登りだと生地に水や汚れがたまりどうしても臭くなるので、このようなザックはメンテナンス性能に秀でています。
欧米諸国ではキャニオニングが盛んなので実は数多くのメーカーが作っているのですが、日本では殆ど輸入されていないのでTREKKINNなどで個人輸入することで入手できます。日本で直接購入できるのはPETZLのアルカナドールのみでしょう。
ケイビングザック Singing rock GEAR 35ℓ
ケイビング用のザックです。これもペツルの商品以外は日本には売ってないので基本輸入となります。
ケイビングに力を入れていた学生時代は色々使っていました。
構造としてはキャニオニングザックとほぼ同じで、穴の有無のみの違いとなります。
湿潤な洞窟の中を引きずり回すために余計なパーツが無く、防水性が高いです。上部から以外は水が入ってこないので、シャワーがあったり長く泳ぐ沢でなければ内部をドライに保つことができます。最強クライマーの佐藤裕介さんはペツル製のポルタージュを使っているみたいです。
防水性はスレなどにより失われますので、使い古したら思い切って穴を空ければキャニオニングザックに。
沢登り専用ザック モンベル サワークライムパック&デイパック
モンベルで売られているザックです。以前はマウンテンダックスの沢用ザックがありましたが、廃番となりました。そのため東京の秀山荘オリジナル商品以外で直接購入できるのは2020年現在モンベルのみとなります。
恥ずかしながらこの商品は使った事がありませんので、店舗で見てきただけです。
メッシュ構造で水はけが良さそうですね。機会があれば購入してみたいと思います。
ポータブルザック mountain dax
ポータブルザックは生地が薄いので保水しにくく、乾きやすくかつ洗濯しやすいのでギアが少ない沢では非常にオススメです。安いですしね。
ターポリン製防水ザック
山仲間のイボGさんが使っているザックです。
ザック部分がターポリンのロールトップで防水スタッフバッグのようになっており、ウォータースポーツ等に使われているものです。防水性が非常に高く、意外と堅牢で便利みたいです。
パタゴニアでも同じようなのが販売されてますね。
宿泊用ザック
モンベル ゼロポイント 65ℓ
宿泊の場合は荷物が多いので、大型ザックに水抜きの穴を空けて使用しています。ギアの量によってはもう少し小さい物を使用する事も。
大型ザックの場合、水抜きの穴を空けないと泳いだ時に重くて大変な思いをします。実を言えば上手く隙間無くパッキングしていれば、水の入るスペースもなくなるのでそんなに浸水はないのですが・・・。
あとは縦走で使うようなポケットがゴテゴテついたものだとゴミが詰まったり重くなったり、ヤブ漕ぎで木が引っ掛かったりとあまり良い事は無いです。シンプルな物を選びましょう。
前述したキャニオニングザックにも宿泊に対応した大型サイズがありますので、機会があれば輸入したいと思います。下記サイトは日本への輸入も対応しています。
結局オススメのザックは??
個人的にはターポリンのザック、つまりキャニオニングザックやケイビングザックを強くオススメします!ターポリンのザックを使い始めてからはナイロン生地のザックは全く使わなくなりました。
ナイロン生地のものは結局生地自体が保水するんですよね。なのでどうしても乾きが遅く、同時に汚れも繊維に溜まるので使い込むと臭いも気になります。
国産ブランドの沢用ザックを使ってこなかった理由もコレです。沢から上がると雑巾臭くなってくるんですよねぇ。。
山行中はどうでも良いのですが、ターポリンは下山後のメンテナンスが非常に楽です。
日本のメーカーも沢用ザックとしてターポリンのザックを販売すれば良いのになぁ。
ザックの穴空け
登山用ザックをそのまま使うと、泳ぎのある沢では割と大変だったりします。
登山用ザックは堅牢性を高めるために割と目の細かいナイロンが使われていたり、防水性を持たせていたりするため水抜けが悪いです。泳いでいるときは良いのですが、岸に上がるとザック内部に流れ込んだ水が非常に重いです。
そのため、ザックの側部や底部に穴を空けて水の抜け道を作ると良いです。ただ穴を空けるだけだとそこから生地が破れやすくなるので、裁縫用のハトメで補強します。穴あけは熱したドライバーでOKです。
穴あけしたザック
ザックの防水について
沢では泳いだり滝に打たれたりするので、必ず中の荷物も防水します。完全防水のザックでも、泳ぎの多い沢だと浸水することがあるので必ず行います。
防水は大きめのゴミ袋などでしっかりと包めばどうにかなりますが、専用の防水スタッフバッグが便利です。
私は4つのサイズを目的別に揃えています。沢登り以外でも通常のトレッキングでも使えるので便利です。
こんな感じで開口部を締めることで防水します。注意点としては、泳ぎなどで水圧がかかると浸水する可能性もあるので、電子機器やシュラフなど絶対に濡らしてはいけない物は2重以上に防水しましょう。
オススメの防水スタッフバッグ
生地の分厚い防水スタッフバッグを使うのがベターです。薄いものだと岩やギアの角、植物のトゲ等であっという間に穴が空き、浸水しやすいです。
ある程度分厚い生地のものがオススメですが、ターポリンのものだとちょっと嵩張りすぎかなといった印象です。個人的にはモンベルのライトドライバッグが一押しです。
生地の丈夫さと柔らかさのバランス、防水性が最高です。
以上、ザックと関連する小物について解説しました。また使ってみて良い商品がありましたら適宜追記していこうと思います。