濁河川~兵衛谷~シン谷を経て御嶽山まで沢登り【2019年8月10~12日】
【2019年8月10~12日】お盆休みにどこか長めの沢に行きたいと思い、前々から地形図を眺めていて気になっていた御嶽山へ続く、『兵衛谷~シン谷』を遡行してきました。
標高差2000mを越えるそれはそれは長い沢でした。数年前の鉄砲水や噴火などの影響により渓相は以前の記録とは全く異なるものでしたが、火山特有の地形が非常に素晴らしい沢でした。
●メンバー:イボGさん、私、Tちゃん、Tさん
●装備:一般遡行装備+登攀具一式
●体感沢グレード:4級 一部危険個所もあり 体力系
●テン場:豊富
●フリクション:とても良い。ラバーでもフェルトでもOK
●見所:火山地形 高山植物
ルート図
厳立峡からスタート。1日目は取水堰より少し進んだところ。2日目はシン谷出合いの滝上にてビバークしました。1日目は河原歩きがメイン。2日目からはひたすら高巻の体力ルートです。
1日目:濁河温泉(車デポ)=厳立峡(入渓7:30)…濁河川…兵衛谷出合(10:20)…取水堰(15:20)…テン場(15:40・泊)
いつものようにイボGさん家から前夜発。
濁河温泉に車をデポし、厳立峡で準備をすませてスタート。
遊歩道の脇からすぐに入渓できます。
暫く雨が降っていなかったこともあり、水量は穏やか。美しい渓谷歩きとなります。
過去の記録では泳ぎを交えながら進んでいくとのことでしたが、全く泳ぐところが無い・・。
淵っぽい地形はあるので、土砂で埋まってしまったのでしょう。
地形図で見える岩崖マークは殆どがこの柱状節理。厳立峡で見える柱状節理の層が延々と続いています。
ちょっと悪いところには残置があります。ここは左岸に黄色いナイロンロープが垂れ下がっています。
ここは右岸をトラバースして進みます。残置ハーケンあり。
ホールドも豊富ですがちょっと窮屈な体勢になります。Tさんが先に突破してザックを渡しながら進みました。高さは無いですがサラシ場になっているので心配だったらロープを出しても良いかも。
二股。ここから右股の兵衛谷に入ります。
このあたりからアブの猛攻を食らいます。ちょっと油断するとチクッと刺されて非常に不快です。
ちょっとわかりにくいですが、水際にはカツラの木が沢山生えています。カツラの木というと秋に甘い匂いが香るイメージですが、実は夏場も強く香る時期があります。
ちょっとした滝もあります。念のためフローティングロープを後続に出しましたが、快適に登れます。
曲滝です。左側から90°曲がって流れ落ちる見事な滝です。ここは少し戻って右岸を巻きます。かつての巻道を示すピンクテープがありますが、崩壊しているので要注意。グズグズの土壁をトラバースして滝上へ。
ここは左岸を私がフリーで登りましたが、念のため後続を確保。
チョックストーンの脇に残置があります。
ちなみにこのチョックストーンは過去の記録を見てみるともっと上流側にあります。
このサイズの岩が押し流されるとは物凄い鉄砲水だったのでしょう。
このあたりから柱状節理の素晴らしい景観が始まります。ここは泳ぎで突破
浸食の痕跡や柱状節理の綺麗に割れた六角形模様の川床など、いくらでも見所があります。本当に美しい場所です。
途中真新しい鎖場がありました。小坂の滝巡りツアーのためのルートでしょう。
ここを過ぎた滝はオーバーハングしており突破できそうに無かったので、イボGさんリードで左岸のルンゼを登攀しました。
丁度登り終えた所で後続の6名パーティーが追い付いてきました。彼ら曰くここは少し戻ったところから簡単に巻けるとのこと。
この後は有名な『出口の無い滝』があるはずなのですが、残念ながら埋没して無くなっておりました。以前の記録を見ると黄色い線あたりが出口の無い釜だったようです。残念。
取水堰からちょっと進んだところで幕営。
この谷は全体的に火山灰の砂で埋まっており、平たいスペースと薪は多めです。
取水堰あたりで幕営する記録が多いですが、時間と体力に余裕があるのならばもっと進んでも良いかも。
ちなみに過去の記録を見ると魚影が豊かとのことでしたが、山小屋の人曰く土砂で埋まってからは全く釣れない沢になってしまったみたいです。
実際魚影が走る姿は山行を通じて全くみられませんでした。
2日目 テン場(5:20)…材木滝(11:15)…シン谷出合(14:00)…出合の滝…滝上(14:40・泊)
翌朝。雨も降らず快適なビバークでした。
当たり前だけど、取水堰を越えると水量が一気に増えます。
ちなみに2日目からカメラのレンズカバーがどんどん曇っていきました。細かい火山灰により研磨されていったのでしょう。画像にどんどん霧がかかって行きます・・。
2日目からは大滝のオンパレードです。柱状節理の切り立った滝が飽きるほど出てきます。ただひたすら、巻きです。
巻きの連続。。
柱状節理のブリッジがかかった素晴らしい滝。ここは左岸から直登します。
柱状節理の迫力ある岩崖。
ここの巻きはメチャクチャ悪かったです。右岸のガリーから高巻。ちょっとハングしているところに堆積物が引っかかっている状態で今にも崩れそう。というか崩れながら登りました。大きな丸太がぐらぐらと動きます。
灌木にフィックスを張って後続はユマーリングで。
手前右側の垂壁にボロボロの残置があったので、そっちが正解なのかも。
材木滝。左岸の赤くなった柱状節理が階段状で割と快適に登れそうには見えましたが、観光地のためパス。左岸から巻きました。
材木滝を越えると川幅が狭くなってきて渓相が変わってきます。
雨も降ってきて天候が不安だねと話しているうちにシン谷出合いに到着。
シン谷へは30m程の大滝がかかり、巻きは非常にめんどくさそう・・。
ここでビバークしている記録が多いのですが、翌日朝っぱらから大高巻きはしたくない!ということで気合いを入れて高巻きすることに。滝上に良い幕営地があるかはわからなかったのですが、まあ何とかなるだろうとポジティブシンキングで気合いを入れる。ちょっと戻ったところの右岸から巻きますが、一部崩壊箇所があり要注意です。
滝上に丁度良い幕営場がありました。薪も豊富です。
2日目は体力的余裕があればシン谷出合いの滝は巻いておくことをオススメします。
3日目 テン場(6:20)…シン谷…賽の河原(11:30)…五ノ池小屋…濁河温泉(14:30)
やっと最終日。標高も上がってきたので水は冷たく朝は寒いです。気合いを入れて沢着を着てスタート。
昨日さんざん高巻きしたというのに、3日目も滝だらけでした。画像右の滝は左岸を巻き。途中結構ザレていて念のため補助ロープを。
ゴールが近づいてくると火山岩がゴロゴロとした地形になってきます。まるでどこか異世界にいるような雰囲気。
水量も段々と少なくなってきて途中で一部完全に伏流します。ここらへんになるともう私のカメラでは何を撮っているのかよくわからない状態となりましたので、一部イボGさんの画像を借りました。
さて、ここまで来てもまだまだ滝があります。画像左の滝は右岸を巻きましたが途中アザミの草むらを通らなければならず針が刺さって痛かったです。
日本最高所の滝がありました。ホントにチョロチョロっとした流れ。
イボGさんとTさんはわざわざ当たりに行ってました。
賽の河原へ詰め上げて遡行終了。何とも登りがいのある沢でした。ここで一般登山者が通る中、沢装備を解除して濁河温泉方面に下山しました。下山時間はおよそ2時間半。
2泊3日の久々にお腹いっぱいになる沢でした。