西表島 ユチン川~幻の湖~イタジキ川~西表縦断路 沢登り【2021年3月13~14日】
今回はユチン川から遡行し、イタジキ川の源流部にある『幻の湖』を通過して縦走路沿いに下山してきました。近年『幻の湖』までのツアーが出ているらしく、ルート整備され過ぎているのがちょっと残念でした。
●メンバー:私、TBさん
●装備:一般遡行装備+登攀具一式 50mダブルロープ
懸垂下降ポイントは幻の湖直下の滝とマヤグスクの滝の二か所。
マヤグスクの滝における懸垂下降は50mあれば十分です。トップは右岸寄りに下降するようにすれば、水量が多い場合も流芯を避けて降りれます。
また、西表島ではハーケンやカムなどのプロテクション類は不要です。引っ掛かる植物が多いので捨てヒモを用意しておくと良いです。
水は全体的に濁っているので浄水器を持っていきましょう。
●体感沢グレード:2級 要読図
●テン場:幻の湖以降は割と多め
●フリクション:ヌルヌル。フェルトがオススメ
●見所:南国特有の渓相
復路マリュドゥの滝方面に向かう場合は、浦内川遊覧船の時刻に注意。
ルート図
ユチン川から入渓し、幻の湖を越えたところにある平地をテン場に。イタジキ川に入るとテン場は沢山あります。今回はちょっと長いですが、浦内川遊覧船を使わずに縦断路を大富林道側に抜けました。
1日目
ユチン川(7:45)~ユチンの滝(8:45)~幻の湖(12:40)~テン場(14:40)
前日はレンタカーを借りてミトレアキャンプ場に宿泊。ユチン橋脇にある駐車場に留めてスタート。
ユチン川はユチンの滝までのリバートレッキングツアーがよく出ており、登山道もよく整備されています。橋から右岸側に少し離れたところに登山口があるので初見だとちょっと迷うかも。ここに来るのはもう3度目なので、サクサクと進みます。
西表島名物の大きなポットホールやヌメヌメのナメを歩きながら登山道を進みます。
西表島全体に言えることですが、コケの生えた平たい砂岩なので雨が降った後はメチャクチャ滑ります。
リバートレッキングなどで訪れる際はフェルトシューズを借りると良いです。民宿マリウドで1足300円でレンタルできるみたいですね。
1時間ほどでユチンの滝に到着。右岸から巻きあがると滝上に出る事ができます。
遠くに見える海を眺めながら大休止。
ユチンの滝からは古見岳に続く登山道があります。過剰なまでに多いピンクテープに少々興ざめしながら沢を登っていくと、予定していた分岐を過ぎて古見岳分岐まで来てしまいました。踏み跡多くボケっとし過ぎた・・・。
画像左の赤線が正しいルート。
分岐を越えて緑線のルートに入ってしまいました。戻るのも面倒だし、そのまま詰めて尾根沿いをトラバースしていこうと進んでみましたが、地形図で平たくなっているところはツルアダンの密集地帯でした。
日本では小笠原諸島と八重山諸島にしかないこのツルアダンのヤブは非常に厄介で、強靭なツル状のアダンが複雑に絡まっていて全く進めません。少し樹に登って眺めてみましたが、これが延々と続いていたので素直に引き返しました。1時間のロス。
画像左の青テープが括り付けられているところが正解となる分岐です。
ここを進むと、さっきのツルアダンは何だったのかと思うくらいにサクサク分水嶺を越える事ができます。ここから幻の湖までも赤テープだらけ。ほぼトレッキングルートですねこりゃ。歩きやすくて良いのですが。
小川や瀞沿いを進みます。平たい地形なので川はほぼ停滞しており、あんまり入る気がせず、素直にルート上を歩きました。
テープが多いので迷うことは無いと思いますが、平たいのでルートを外れないように注意。
幻の湖到着。うーむ。これが幻の湖かぁーーって感じ。
川のカーブに大瀞がある地形になっており、確かに沼っぽい形ではありますが、『幻の湖』というネーミングは適切ではないと思います。
でも前々から来たいと思っていたところなので来ることができて満足。ここで大休止を入れて出発。
幻の湖を越えると地形に変化が出てきます。直下に5m滝があり、滑りやすいゴーロ帯となります。ここは右岸の灌木から懸垂下降します。
次第に渓相が変わっていき、200m程続くナメ床が出てきます。
段々と水量が増えてゆき、枝沢の合流地点から少し過ぎたところにある幕営適地で1日目の行動終了としました。
ここは3年前にヒナイ川から遡行した際も泊まったところです。水はソーヤーミニで浄水して飲用しました。ここの水をそのまま飲む気はしません。
2日目
テン場(8:15)~マヤグスクの滝(10:00)~西表島縦断路分岐(10:20)~大富林道出合(13:25)~大富バス停(15:20)
2日目です。夜泡盛を飲みすぎ、若干酔っぱらった状態でスタート。
テン場を過ぎてヒナイ川の分岐と合流すると、一気に水は淀み、大瀞が続きます。
3年前は皆でワイワイ泳ぎましたが、今回は泳ぐのが面倒だったので全て巻きました。西表島は全体的に平坦なので、どの瀞も容易に巻けます。泳ぐの苦手な人でも大丈夫。
大瀞が終わるとゴーロ帯に入ります。ここも適当に下っていきます。
平たいナメになるともう間もなくマヤグスクのゴルジュ。西表島独特の地形ですね。このあたりから、マヤグスクの滝までが西表島の沢で個人的には一番好きな場所です。
マヤグスクのゴルジュです。やっぱりこのゴルジュはカッコイイ!
ここは右岸奥にある灌木から懸垂下降するのが定石となりますが、流線沿いにフリーで降りる事も出来なくは無い。
と言いつつ素直に懸垂。
ここは増水時は結構水流が強いので、トップは画像の様に流芯を避けて右岸寄りに降りるようにしましょう。ロープは50mあれば余裕です。
マヤグスクの滝に訪れるのは今回で5回目となりますが、この滝はいつ見てもカッコイイです。ここからはトレッキングルートとなるため、整備された登山道沿いに下山して行きます。
縦断路出合い。ここで右に曲がってカンピレー・マリュドゥの滝方面に向かえば一時間半位で着くのですが、遊覧船乗船代を往復分取られるのが嫌だったので、今回は長い長い大富林道側へ下山しました。
分岐から大富バス停までは約16キロ、5時間の長い長い道のりです。ここを歩くのはもう4度目。
縦断路自体は昔遭難者が出たことにより非常によく整備されており、倒木などはありますがピンクテープや看板も多く、まず迷うことはありません。15:32発の最終バスに間に合いました。
バスは一日4本しか出ていないため、うまく時間調整しないと結構待つことになります。時間によっては大富のタクシーを用いると良いです。
今回も天候に恵まれ、最高の沢遠征となりました。このルートは整備された箇所が多く、沢というよりはトレッキング的な要素が高かったので難易度は高くは無いですが、道迷いしやすい地形となるので沢グレード2級としました。スマホのGPSなど活用した方が良いでしょう。