西表島のジャングル探検 ギンゴガーラ川~仲良川 沢登り【2019年10月12~13日】
ちょっと前の記録になりますが、いつもの山仲間と一緒に西表島へ沢登りに行ってきました。
このメンバーで西表島の沢に行くのは2回目。前回は王道ともいえるヒナイ川~浦内川。今回はちょっとマイナーなギンゴガーラ川。時間の都合上1泊2日で行けるルートで組んだ結果ここに。山から入り、浮き輪に5時間も揺られながら海に抜けるという西表島ならではの素晴らしい沢登りを楽しめました。
●メンバー:Kさん、Tちゃん、Nさん
●装備:一般遡行装備+登攀具一式+浮き輪
※西表島の沢登りでプロテクション類は不要です。海水でサビついて泣きを見ます
●体感沢グレード:2級 要読図・巻き力
●テン場:少な目
●フリクション:ヌルヌル。フェルトがオススメ
●見所:南国特有の渓相
往路の浦内川遊覧船と復路の白浜からの定期バスのダイヤは本数が少ないので注意。タクシーは台数が少ないので要予約です。
ルート図
浦内川遊覧船船着き場からスタート。途中までは散策路を歩き、マリュドゥの滝展望台脇からギンゴガーラ川に入る。テン場は分水嶺を超えてから適当に。
1日目:星砂キャンプ場…浦内川遊覧船乗り場(9:30)~軍艦岩(10:00)…マリュドゥの滝展望台(10:20)…入渓地点(10:20)…ギンゴガーラ川遡行…ギンゴガーラの滝(11:30)…分水嶺(15:40)…テン場(16:45・泊)
前泊は星の砂キャンプ場。テント代を1日分余分に払い、テントをデポさせてもらい山行に出ました。ちなみに西表島には南風見田キャンプ場、ミトレアキャンプ場、星の砂キャンプ場がありますが、個人的には沢などで行く分にはコンセントが使えてシャワーも入り放題、荷物も預かってくれるミトレアキャンプ場がオススメです。
浦内川遊覧船乗り場で登山届けを提出し、乗船。いつものように片道利用で往復料金2200円・・・。こればかりはしょうがない。
軍艦岩からマリュドゥの滝展望台までは遊歩道を歩きます。
この遊歩道を奥まで歩いていくとカンピレーの滝、マヤグスクの滝、西表島縦断路につながります。
マリュドゥの滝。
ここは15年くらい前までは滝つぼまで遊歩道が続いていたのですが、観光客が溺れる事故があったとのことで今は封鎖されています。
マリュドゥの滝展望台の脇からギンゴガーラ川に降ります。
後ろから観光客が遊歩道と間違えてついてきてしまいました。ここは地形図を見ながら適当に。
何事もなく出合いに。奥に見えるのがギンゴガーラ川。
思っていたよりも小さな沢だなぁといった印象。
簡単に渡渉し、ギンゴガーラ川へ。渓相は穏やかで楽しく歩けます。
西表島を含め、八重山諸島周辺では八重山層群と呼ばれる非常に柔らかい砂岩層が見られます。実際に歩いてみると、簡単に削れてしまいます。本当に固く押し固めただけの砂って感じです。
また、西表島の沢では岩が柔らかい事もあり甌穴(ポットホール)が発達します。
こんな感じでグネグネとうねった景観も見どころ。
ギンゴガーラの滝。起伏の激しい西表島には観光地にはなってないけど素晴らしい大滝が沢山あります。ここは右岸巻き。
いくつか事前に記録を見ていると、結構難儀そうだったので構えて取り掛かりましたが、弱点を突けば容易な巻きです。
西表島特有のミルフィーユのような地層により、一見登れない高さの崖に阻まれているように見えますが、少し戻ると小さな支流の滝があり、その脇のルンゼから登れます。
滝上に出ると西表島の地形の不思議さを感じることができます。
平たくなった沢筋からは水が消え・・・
沢の脇から水が出ています。
だったらそっちが沢だろうと思うかもしれませんが、実際に行ってみると本当に沢の脇から水が出てるんです。伏流した水流がちょっと外れたところから湧いているという感じでしょうか。
しばらくすると水流が戻ります。
水流により丸まった石。
ヤエヤママルヤスデ。赤と黒のカラーリングが美しい日本最大のヤスデです。
西表島では普通に見る事ができます。
平凡な渓相が続き、直登できる小さな滝や西表島名物の濁った瀞などを越えていくと、段々と沢が細くなっていきます。
最後の方は水流が少なくなり、ヤブとゴーロが混ざったような狭くて進みにくい渓相となります。
分水嶺越え。
距離は短いですが、地形図に載らないスケールの地形の起伏が多く非常に読図しにくいです。GPSをチラ見しながら尾根を越えます。
ここでヌカカの大群に襲われました。私は半そでだったのであらゆるところを刺され、未だに刺された跡が消えません。こんなジャングルで半そでで遡行する私が悪いのですが、まあこれも西表島ならではの体験だということで。
分水嶺を越えて沢筋に入ると、15mほどの滝があります。
ここは左岸の立木を使って懸垂。
フリーで降りられる滝の所に平たいスペースがあったので、ここをテン場としました。西表島の沢全体に言えることですが、草木の生い茂るジャングルなので幕営適地は少な目です。
滝のすぐ脇なので水しぶきを浴びながらの就寝です。オオハナサキガエルがお腹の上に飛び乗ってきて起きるというレアな体験もできました。
2日目:テン場(7:00)…ナーラの滝(8:30)…船着き場(9:30)…白浜港(14:00)
2日目です。天気も良くゆったりと朝食を食べスタート。
沢筋をひたすら下っていきます。
このようなプチゴルジュも出てきます。ギンゴガーラ川よりも仲良川の方が沢としての景観の起伏があり、下りも楽しめます。
この滝は右岸の灌木から懸垂。
小さいですが、ダイナミックな滝です。
段々と水量が増えてきます。
仲良川本流と合流したころには、大きなポットホールや滝などが出てきます。この西表島ならではの独特な地形は見てて飽きません。
ナーラの滝です。
ここは左岸の灌木を支点に懸垂しました。上から見ると若干ハングしているので50mロープで足りるか不安でしたが、下部のテラスに降りるのに十分足ります。
ナーラの滝まではトレッキングツアーが出ているらしく、ここから急に人の踏み跡が現れます。あとは沢沿いを適当に下ります。
船着き場のちょっと手前です。いきなり水量が増え、沢から川といったイメージになります。ここで大休止を取り、2日目の核心である浮き輪でのプカり準備に取り掛かります。ここから白浜港まで5時間もの長い長いプカりです。
今回私はボートタイプ、Tちゃんはマンタ、Kさんは浮き輪、Nさんはワニとそれぞれことなる浮き輪でトライしました。
ちなみに、破裂したらどうしようかなと若干不安を抱いてましたが、最悪両岸のジャングルにたどり着けば時間はかかりますが何とか歩いて帰れると思います。その場合はもう一泊増えることを覚悟してスタート。
こんな感じでボートの私は優雅なプカりを楽しめました。ザックは長スリでボートに固定。後ろに写っているのはワニでプカるNさん。途中何回かカヤックツアーの人たちに出くわし、ワニで華麗に下るNさんは大爆笑されてました。
しかしまあこのジャングルの川は流れがほとんど無く、自分でこがないと全く進みません。
走行性能・快適さからランク付けすると
ワニ>ボート>マンタ>浮き輪
って感じです。さすがに5時間も水につかりっぱなしでかつ全く進まない浮き輪はオススメしません。Kさんも大分疲弊してました。ワニは細長いので抵抗が少なくスピードがでます!
たまに岸で休憩をとりながら・・・。
河口に近づくと、干潮になりやっと歩けるようになりました。
干潟にはミナミコメツキガニの大群がワラワラと歩いています。
白浜港に到着!
なんと1日に3本しかバスが出ておらず、最終便が15:45!2時間ほど暇な時間を得られてので、荷物を乾かしたりジュースをガブ飲みしたりと時間をつぶしてバス乗車。
南国の強い日差しで荷物はバッチリ乾かして乗車することができました。
学生時代に西表島に魅了され通い始めて早十数年、今回も最高の沢旅を楽しむことができました。