【2018年11月21日・12月8日 地学観察】鳳来寺山で岩石や地層の観察
仕事で地学のガイドさんと共に鳳来寺山に行ってきました。
地学は最近勉強し始めたばかりということもあって、色々と新鮮な学びが多く楽しかったです。
備忘録も兼ねてまとめてみます。
鳳来寺山(695m)
鳳来寺山は、およそ1400万年前の火山が少しずつ侵食されてできた山です。『鏡岩』などの特徴的な山容から、古くから山そのものが信仰の対象となり聖地として栄えてきました。
地質図を見てみると、かつて大きな火山であったことがわかります。黄色い部分がカルデラとなり、安山岩やデイサイト、凝灰岩の分布を示しています。鳳来寺山はこのカルデラの南西側に位置します。
鏡岩を形成する『松脂岩(しょうしがん)』は全国的に希少な岩石ですが、鳳来寺山には至るところに存在します。
そのため、愛知県の『県の石』として鳳来寺山の松脂岩が選定されています。1931年に国指定名勝天然記念物に指定され、2007年に日本の地質100選に選定されました。
今回は登山口にある鳳来寺自然科学博物館を見学してから登山しました。
この博物館はスペースの割には剥製や植物標本・岩石標本の数が半端なく、一見の価値有りです。入場料も210円と安いので鳳来寺山に登る時は是非ご入館ください。
愛知県周辺で見られる岩石標本の販売もあります。一個50円。中々落ちている石ころを確証持って同定することは難しいので、いくつか購入しました。
鳳来寺山でよく見かける岩石は以下の4種類です。左上が松脂岩、右上がデイサイト、左下が流紋岩、右下が凝灰岩です。ちょっと画像ではわかりにくいですね。
松脂岩は流紋岩質マグマが海水と反応してできた岩石で、黒曜石に似ていますが水分含有率が1~10%あるとのこと。キラキラしたガラス質の岩石です。
鳳来寺山といえばこの石段!約1400段を登ります。
博物館を出るとすぐに石段登りがスタートです。石段をよく見てみると、上記の岩が使われている事がわかります。岩石を同定しながら歩くのは楽しいですね。最初は流紋岩が多く、段々と松脂岩や凝灰岩が出てくるようになります。
鳳来寺山は山全体が遺跡のような場所で、このような廃寺や土台だけになった寺跡が多く存在します。
石垣にはマルバフユイチゴが実っていました。食べられますが大しておいしくは無いです。
龍の爪痕と呼ばれる露頭です。凝灰岩から角礫が脱落した跡がまるで爪痕のように見えることから名づけられました。この露頭は凝灰岩の層の上に松脂岩の層が多いかぶさっています。このすぐ上が鏡岩です。
階段を登りおえました。山頂までのルートは2つあるのですが、西側のルートが倒木のため通行止めになっていました。台風によるものらしいですが、小さな神社だったら御神木レベルのこの巨木を倒すなんてやはり今年度の台風はスゴかったんだなー
鳳来寺本堂とバックの鏡岩です。鏡岩をイメージした真ん中に鏡のある絵馬が珍しい。ここからパークウェイ駐車場まで露頭を観察しながら歩きました。
ちなみに山頂方面に向かうと、凝灰岩が多くなってきて特に地学的な見所は少なくなってきますが、展望の良い山歩きを楽しむことができます。
さて、パークウェイまでの舗装路では露頭を観察することができます。斜めに入っている節理は地殻変動の圧力によるもので、しばしば断層が見られます。植生の侵入による割れは方向性が見られない点から区別するらしいです。ガリーの形成にも関わっているのだとか。
普段こんな割れ目までは気にしていなかったため、非常に勉強になりました。
他にも細かい学びが沢山ありましたが、とりあえず今回は以上になります。最近ブラタモリなどのテレビ番組の影響から地学が一部でブームらしいですが、やっぱり山や自然と触れるにあたって地学的な知見があると見方が変わる点が面白い。
楽しかった~!