ムカデのおにいさんのブログ

ムカデのおにいさんのブログ

登山ガイド・森林インストラクターとして登山ツアーを作っていたりします。沢と山と自然観察の情報発信と記録のブログ。

鈴鹿 滝洞谷 沢登り 2018年11月4日

沢納めということで鈴鹿最難関と名高い滝洞谷へ行ってきた。

 

メンバー:私、イボGさん、Tちゃん

コースタイム:駐車場8:10=洞窟ゴルジュ8:40=井戸底ゴルジュ10:20=スラブ滝11:00=迷路ゴルジュ12:30=ゴルジュ終了14:00=茶野15:10=駐車場16:40

装備:カム1セット・ボールナッツ1セット・ナッツ・アブミ(4)・ハーケン(適量)ロープ(8.6*50m、8*30m)。石灰岩らしく内部が浸食してフレアしたクラックが多いのでナッツが活躍。ボールナッツも大活躍。

 

●ルート図

f:id:sawakaido:20181106235943p:plain

 

●アプローチ

お墓前の駐車スペースに駐車。

鞍掛トンネルが通行止めであったのをスッカリ忘れてて、大幅な時間ロス。

三重県側からアプローチする場合は要注意。

※2019年に通行止め解除されました。現在は通行可能です。

出発時刻は8時過ぎとなった。しかも天候は雨。

噂に聞くヌメリが不安だったがまあ何とかなるだろうと出発。

f:id:sawakaido:20181106235741j:plain

ちなみに今回の足回りはモンベルのサワークライマー。

念のためクライミングシューズを持って行ったけど使わなかった。

フェルトしか持ってないイボGさんはハイパーVで完全遡行。流石だ。

f:id:sawakaido:20181106235747j:plain

 

沢までのアプローチは至って簡単。

林道を降りてすぐの堰堤を超えれば河原になる。

f:id:sawakaido:20181106235746j:plain

 

●人面岩から入渓まで

河原を進むとすぐにゴルジュが現れる。

奥には有名な人面岩。確かに人面だ。

f:id:sawakaido:20181106235755j:plain

 

少し奥まで覗いてみると登れそうに見えたが、如何せんしょっぱなから腐敗水には入りたくないので右岸から巻き。人面岩を超えたすぐの所に良い感じの灌木があったので懸垂で沢へ。

f:id:sawakaido:20181106235758j:plain

 

狭いゴルジュは確かに洞窟みたいだ。

CSをステミングで抜けるとすぐに洞窟ゴルジュへ。

f:id:sawakaido:20181106235802j:plain

 

●洞窟ゴルジュ

正面はツルツルに磨かれており全く登れそうに無い。

淀んだ釜には茶色い水が溜まっている。

f:id:sawakaido:20181106235804j:plain

 

ジャンケンに勝ち、リードで登らせて貰った。

左岸に走るクラックには残置ハーケン5枚程。さらにカムで支点を追加。

アブミを掛けながらトラバース。滝の落ち口が雨でヌルヌルになっていて怖かった。

f:id:sawakaido:20181107000415j:plain

 

終了点として残置されているスリングもボロボロだったので、カムとナッツで補強し支点を取る。

f:id:sawakaido:20181106235818j:plain

 

●井戸底ゴルジュまで

井戸底ゴルジュまではボルダーチックに進めるゴーロ・ゴルジュが続く。

ヒールフックで有名なCSは私はステミングで抜け、イボGさんはハイパーVでヒールフック!

f:id:sawakaido:20181106235813j:plain

f:id:sawakaido:20181106235821j:plain

 

深い釜の先に枯滝があったが、右岸を容易に巻けたのでパス。

f:id:sawakaido:20181106235826j:plain

 

少し開けたところもある。

深い緑に覆われたこの谷はとても美しいと思う。

f:id:sawakaido:20181106235833j:plain

 

ここは落ち口が悪いとの事だったが、落ち口右側にガバを発見。

f:id:sawakaido:20181107000654j:plain

 

●井戸底ゴルジュ

両岸が急に狭まり切り立つと井戸底ゴルジュ。

らせん状に抉られた地形は確かに井戸の底。

ここはイボGさんがリード。噂通り、上部に行くほど悪くなる。

f:id:sawakaido:20181106235837j:plain

f:id:sawakaido:20181106235841j:plain

 

今回水流は無かったものの、雨でぬれてヌメヌメ。

斜めに入ったクラックへ右足フットジャム気味に登った。

f:id:sawakaido:20181106235844j:plain

 

●7mスラブ滝

左岸がハングし、ツルツルの涸滝がかかる。

ここは私がリードで登った。

最初右側をチムニ―気味に登ろうとしたが、プロテクションが全く取れない。

諦めて左側クラック沿いを登る事にしたが、雨に濡れてツルツル。

アブミを掛けながら登った。ここでは細いクラックにボールナッツがよく効いた。

f:id:sawakaido:20181107000917j:plain

カンテを越えると落ち口となるので、フリクションを効かせて左岸に移る。

滝上には残置が無いのでハーケンとカムで支点を取る。

 

f:id:sawakaido:20181106235856j:plain

 

滝を上がるとすぐに釜がある。

例によって汚い水だが、ここは気合いを入れて突破。

鹿の死骸があったとの記録が多かったのでどんなもんかと思っていたが、今回は全体を通して動物の死骸は見つからなかった。

f:id:sawakaido:20181107000955j:plain

 

●迷路ゴルジュまで

特に難しいところは無いが、涸滝5mは右側をフリーで登った。

高さがあるので念のためTちゃんにロープを出した。

f:id:sawakaido:20181107001037j:plain

 

●迷路ゴルジュ

最後の核心となる迷路ゴルジュ。7m+25m3段

深く抉られた見応えのあるゴルジュ。来てよかった。

ここはイボGさんリード。

コケコケの7mは容易だが浮き石も隠れているので注意。

f:id:sawakaido:20181107001127j:plain

 

25m3段は容易に登れるかと思いきや、まさかの3段目が核心であった。

苔でヌルヌルの滑り台のようになっており、思いの他悪い。

ツルツルの涸滝なので、滑ると下まで落ちそうで怖い。

ここは万全を期してロープを出した。

f:id:sawakaido:20181107001149j:plain

 

迷路ゴルジュを過ぎると最後の最後に汚い釜。

これが結構深く胸までつかりそうだったので左岸を巻いた。

紅葉とダイナミックなV字谷が美しい。

f:id:sawakaido:20181107001232j:plain

f:id:sawakaido:20181107001554j:plain

●遡行終了~下山

暫く歩くとゴルジュが終わり、岩質が変わりはじめ普通の沢になる。

驚いた事に水の中にはイワナが。昔の人が放流したのだろうか。

適当な所で切り上げ、東側の尾根へ上がる。

一応地形図には登山道があり、ところどころピンクテープがあるが完全に廃道。

大分下に下らないと明瞭な道には合流しないが、大きな崖も無く歩きやすいルートだ。

f:id:sawakaido:20181107001634j:plain

f:id:sawakaido:20181107001642j:plain

滝洞谷は噂に違わぬ素晴らしい沢だった。

難易度に関しては、確かに人工登攀やクライミング技術はいるが、アプローチや読図、下山難易度などは非常に容易なレベル。そのため沢としての総合力で見ると沢グレード5級というのはちょっと違うのかなと思う。個人的な体感グレードとしては3級+といったところ。ただし、沢グレードなんてのはあってないようなものだし、グレードと楽しさは全く比例しないのであくまでも参考・個人的意見として。

またそのうち機会があれば行ってみたい。