湯檜曽川本谷 沢登り【2019年8月17~18日】
【2019年8月17~18日】たまには上越方面の沢に行きたいと思い、お盆休みの後半は湯檜曽川本谷を遡行してきました。日本海側の豪雪地帯に含まれる地域の沢はササ尾根やアバランチシュートなどが見所の一つです。天気も良く気持ちの良い遡行を楽しむことができました。
●メンバー:Tさん S夫妻
●装備:一般遡行装備+登攀具一式
●体感沢グレード:2級上 滝登り・歩き系
●テン場:少ない。二股に2~3張程度で薪少な目。早めの出発を
●フリクション:普通。たまにヌメるがラバーでもフェルトでもOK
●見所:ササ尾根歩き 快適な滝登り
●コースタイム:
1日目:駐車場(5:40)…武能沢出合(7:30/入渓)…大倉沢出合…二股(12:30/泊)
2日目:テン場(6:10)…左股遡行…尾根詰め上げ(7:50)…下山…駐車場(14:00)
ルート図
1日目:土合⇒二股テン場へ 2日目:テン場⇒左股経由で下山
1日目:駐車場(5:40)…武能沢出合(7:30/入渓)…大倉沢出合…二股(12:30/泊)
名古屋から前夜発してS夫妻と合流して土合駅前駐車場にて仮眠。朝石川県からはるばるとやってきたTさんと合流。土合駅からちょっと上がったところにある駐車場に車を停めおき、準備をしてスタート。アプローチは林道・登山道歩きとなります。
2時間程で武能沢出合いに到着。沢を下って湯檜曽川本谷へ降ります。先行パーティーは時間短縮のためか更に先へ。個人的には快適で楽しいゴルジュを飛ばしてしまうのはもったいないので武能沢からスタートするのがオススメです。
魚止めの滝です。いくつか滝がありますが、どれも快適に登ることができます。ロープは出さなかったです。それにしても水温がやたら高くプールにいるような気分になりました。
上越方面の沢らしく終始明るい沢で気分よく遡行できます。
有名な『ウナギの寝床』です。泳ぎがいのある廊下をイメージしていたのですが、思っていたよりも小規模で危うく見過ごしてしまうところ。
TさんとS夫はわざわざ泳ぐために戻って飛び込み。S夫妻は直前に川浦渓谷を遡行していたのでちょっと物足りなさそうでした。
続いて十字峡。大倉沢と抱返沢の大滝が出合い、文字通り十字に沢が交差しています。非常に見応えのある光景です。
ちなみに大倉沢は画像右側に流れ込んでいますが写っておりません・・。
続いて『アナゴの寝床』を超えます。
銘渓62選には手こずるとあったものの、釜が続くだけで特に苦労するところは無かったです。水量によるのかも。
抱返り滝です。2段の滝となり右岸からフリーで登りましたが、メンバーによってはロープを出してあげた方が良いかもしれません。残置ハーケンあり。
ナメが続きます。本当に明るくて良い沢だ。
ここは右岸から巻きます。
ここは水流をトラバースしてからシャワーで登る記録が多いですが、左岸のルンゼから巻きました。しかし滝上の草付きトラバースがちょっと悪めなので念のためフローティングロープで後続を確保。
高気温なので折角だからシャワークライミングすればよかったなあ。
続いて2段滝です。1段目は右岸から。2段目は左岸から直登しました。見た目よりもホールドが豊富で快適に登れます。Tさんがフリーで先行して念のため後続にはフローティングロープを出しました。
高巻はちょっと面倒くさそうな感じなので素直に直登して越えるのがオススメです。
滝上からの眺め。
続いて40m大滝。1日目のハイライトです。途中のテラスから念のためロープを出して登攀しましたが、ホールド豊富で難しい所も無いので水量・パーティー力量によってはとっととフリーで越えて行った方が良いかも(フリー推奨するわけではないです)。
大滝を越える頃には大分川幅も狭くなってきて、12時過ぎには幕営地となる二股へ到着。右岸に良い感じのスペースがあるのでタープを張って薪集め。
薪の有無が不安要素だったので、今回は大滝を越えたあたりから良い感じの薪を回収しながら登りました。重かった。
実際テン場の上がすぐササ尾根になることと、8月後半に差し掛かり大分薪自体が消費されていることもあり使える薪は少なかったです。入渓者も多い沢ですので早出してとっとと幕営することをオススメします。
夜までは大分時間がありました。酒を飲んだり予備食を食べたりと普段の喧騒を忘れた優雅な時間を楽しむことができました。
テン場前の沢にはハコネサンショウウオの幼生が沢山いました。日が暮れて来ると岩の隙間から多くの個体が顔を出します。
2日目:テン場(6:10)…左股遡行…尾根詰め上げ(7:50)…下山…駐車場(14:00)
さて、2日目ですが名古屋まで帰る事を考えて左股から北側の尾根に突き上げることにしました。皆朝日岳のピークハントにはあまり興味を示さなかった様子。二股からは川幅は一気に細くなりますが、チョコチョコと3~5m位の滝があり地味に厄介です。
ここはちょっと悪め。先行して後続を確保して突破しましたが、S嫁がセミになって大騒ぎ。『もう無理ー落ちるー!!』の叫びがこだましました。
沢も細くなってきて、良い感じの所で詰め上げる事に。途中から濃い笹薮を藪漕ぎです。
30分程で尾根まで詰め、登山道に合流します。ここで沢装備を解除して下山。
避難小屋です。1日目は大分時間に余裕があるので、足並みそろったパーティーならばここまで足を進めても良いかもしれません。ただし水場はありません。
下山は旧県道297号沿いに歩き、大体4時間ほどかかりました。
一応地形図上は県道ルートで記載されておりますが、ほぼ完全に消失しており実際はただの登山道です。旧県道というこで所々車が通れる位の人工的に削られたルートが見えることは見えるのですが、そのド真ん中にダケカンバの巨木が生えていたり・・。
こんなところ車が通れるのかよと疑問に思ったので、下山後一体いつ廃道になったのか調べてみたところ、20世紀末にはもう廃道状態で元々は馬車が通る道だったとのこと。
この清水峠の廃道は廃道マニアの間では有名なルートみたいですね。
100年以上たてばそりゃダケカンバも巨木になりますよね、というかそんなルートを何でわざわざ県道マークで記載するのか・・・。Wikipedia等にも載っているので興味ある方は調べてみてください。
話は逸れましたが、下山後入浴し無事解散しました。上信越の沢の楽しみが凝縮された初級者にもオススメできる銘渓でした。