ムカデのおにいさんのブログ

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登山ガイド・森林インストラクターとして登山ツアーを作っていたりします。沢と山と自然観察の情報発信と記録のブログ。

コスパ最強の雪山グローブ 防寒テムレスにおける注意点

もはや説明するまでも無く山屋に浸透している防寒テムレス。

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防寒テムレスLL

仕事で山に行くときも、防寒テムレスのお客さんがちらほらいる。

一応山専用に作られた商品ではないので、「メイングローブに使わないでくださいよ」

と声をかけているものの、私自身も最近プライベートでは雪山グローブはメインが防寒テムレス。サブでお高いオーバーミトンを使う流れになってしまった。

防寒テムレスのメリットとしては、まずコスパが最高。アウトドアメーカーのグローブの一割位。あとはゴム手袋のため水を含まないのが良い。

ただし、もちろん作業用手袋として作られたものなので、いくつかデメリットもある。

 

●期待するほど暖かくない & 結露に注意

防寒テムレスの内部のボアはそんなに厚みがありません。厳冬期の雪山だと寒いです。必ずインナーグローブを使用しましょう。購入時にはちょっと大きめのを選んだ方がいいです。

また、汗っかきのひとだと割と指先が結露します。これは通常のオーバーグローブでも起こり得ることですが、テムレスは構造上水分の発散が悪く、指先が濡れやすいです。

一度アイスクライミング中に指先が凍りかけて焦りました。

でもまあこれもインナーで対策できるようにしましょう。濡れた時の代えを持つのは雪山の基本です。

ちなみにオススメのインナーは100円ローソンのフリース手袋。これはマジで良いです。インナーも安く済ませましょう。私は毎年シーズンはじめに3組位買ってます。

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インナーも安く!

 

●摩耗に弱い

雪山歩きだけならまず摩耗により穴が空く事態にはなりませんが、アイスクライミングなどでビレイや懸垂下降するとどうしてもロープのスレにより穴が空きます。

その状態で湿雪をかき分けたり、氷の下の水に手を突っ込むと水が沁みてきます。

手のひら全体でフリクションを効かせるようにすれば摩耗しにくいですが、手袋よりも安全が第一です。摩耗が激しいシーンでは通常のオーバーグローブを使いましょう。

私は貧乏性なので、こうなるとゴム系接着剤で穴を埋めて再利用しています・・。

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フリクションが良すぎる

作業用グローブのため、表面に滑り止め加工がなされています。

このフリクションケイビングなどでは最高のパフォーマンスを発揮します。

ところがアイスクライミングなどにおいては、スクリューやロープなどに巻き込まれることがあります。

赤岳鉱泉ではビレイデバイスに指が巻き込まれる可能性があるということでビレイヤーはテムレス使用禁止になっています。

まあこれは登山用品ではないのでしょうがないです。

 

とまあこんなところでしょうか。

あ、あとデザインがダサすぎるという方も居ますね。

ちなみに、我らがワークマンではアウトドアラインである「AIGES」において防寒・防水グローブというのが売っていたので買ってみました。

これも1900円ということで圧倒的なコストパフォーマンス、テムレス越えを期待ましたが、全然ダメでした。日帰り赤岳で使用しましたが、保温性は十分あるものの、透湿性が0なので蒸れることこの上無し。

テムレスの凄さというか透湿性の必要性を改めて感じる結果でした。ただしこのグローブは革張りなので、はもずしみたいなゲレンデだったらこっちの方が良いかも。

見た目もテムレスより良いでしょ。

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AEGIS防寒手袋